米SGIのロバート・ビショップ会長兼CEOが21日会見し,「21世紀はデジタル・コンテンツの時代。日本はこの分野でリーダーになる」と述べた。SGIの21世紀に向けた経営戦略を説明する記者会見における発言である。

 ビショップ会長はこれまで電子化されていなかったデータが21世紀に入ると,次々にデジタル・コンテンツになっていくと指摘した。「例えば,病院では診療のためのデータがすべて電子化され,平均的な病院で1日に1テラバイトのデータが作成されるようになる。映画の世界も1本の映画のすべてがコンピュータ・グラフィックスで作成されるようになり,数百テラバイトの巨大なデータになる」。

 デジタル・コンテンツが増大する潮流の中で,なぜ日本がリーダーになるのか。ビショップ会長は,「日本は技術の基礎を再構築しているところで,その成果が近々具現化するだろう」と見る。「技術の再構築」として念頭に浮かべているのは,日本SGIが進めている取り組みのようだ。

 日本SGIはこのほど,プラネタリウム・メーカーとして全世界で40%のシェアを持つ五藤光学と提携,3次元のリアルタイムCG技術を使ったデジタル・プラネタリウムを共同で実現していくことを決めた。

 さらに日本SGIは,有線ブロードネットワークスと技術提携する。相互に技術を提供しあって,有線ブロードネットワークスが展開する予定の広帯域通信網を利用したビデオ・オン・デマンド・サービスを実現する。

 ビショップ会長兼CEOの予測が当たれば,デジタル・プラネタリウムや,新しいデジタル・ビデオ・コンテンツが国際的な商品に成長していくことになる。

 ビショップ会長兼CEOは,「日本と同様にチャイナでも,さまざまプロジェクトが進められている。日本とチャイナが一緒になって経済を引っ張っていくと確信している。21世紀は太平洋地域の時代になるだろう」と締めくくった。(森 永輔=日経コンピュータ