東京電力と関西電力が計画しているインターネット取引所(マーケットプレイス)を巡るシステム商談が大詰めを迎えている。両社は年内にも,共同Webサイトを作り,このサイトを通じて,各種の作業用品や補修部品,パソコンなどを購買していく考えだ。いわゆるMRO(メンテナンス・リペア・オペレーションズ)と言われる業務を電子化するもの。東電・関電を合わせた調達額は巨大であり,実現すれば我が国最大級の電子商取引サイトになるのは確実だ。

 東電・関電からマーケットプレイスを受注しようと,ITベンダー各社は3グループに分かれて提案を出し,しのぎを削っている。Oracle Exchangeという有力なマーケットプレイス構築ソフトを持つ日本オラクルは新日本製鉄と組んで提案を出している。日本オラクルと新日鉄が提携して10年が経過しており,2社は「10周年記念事業」と命名し,受注に全力を上げている。

 日本オラクルが先行していたこの商談に待ったをかけたのが,日本アイ・ビー・エム。IBMが世界規模で提携している,i2テクノロジーズとアリバを巻き込み,マーケットプレイスを売り込んでいる。IBMアジア・パシフィックの北城恪太郎ゼネラル・マネジャ,日本IBMの大歳卓麻社長が直接,東京電力へ提案したとされる。

 さらに,東京電力の主力ベンダーの座を死守したい日本ユニシスが,コマースワン,SAPジャパンというこれまたマーケットプレイスの有力ベンダーと手を組んで名乗りを上げている。マーケットプレイスの世界プレーヤが全員集合した格好だ。

 年内にサービス開始ということを考えると,10月早々にもベンダー選定を終える必要がある。しかし,3グループとも強力な布陣を引いており,東電・関電の中でも各グループを推す担当者がおり,意見集約はまだできていない。どのグループが受注するのか,予断を許さない状況である。(谷島 宣之=日経コンピュータ