データ分析ツール・ベンダー大手の米SASインステチュートは,EIP(企業情報ポータル)市場に本格参入する。同社の最高技術責任者(CTO)であるビル・ギブソン氏が本誌に明らかにした。データ分析はEIP構築ツールの中核機能の一つ。データ分析ツールのベンダーではすでに米バイアドアや米ブリオ・テクノロジーがEIP市場に進出している。SASの参入により,この分野の大手ベンダーが出揃うことになる。

 SASは,データ連携用ミドルウエア「SAS Integration Technologies」に,今後,EIP構築用の機能を追加する。他のアプケーションやデータベースから抽出したデータを,EIPに表示できるようにする。EIP構築ツールの主要機能の一つであるユーザー・インタフェースを作る機能は持たない。「理由はマイクロソフトやロータスなどがユーザー・インタフェースをすでに提供しており,先行する製品が多いため。自ら新しいインタフェースを提供して,普及させるのは現実的ではない」(ギブソン氏)という。

 EIPは,企業内外の情報をWebブラウザ上に一括表示する「情報の玄関口」。EIP構築用ツールは決まった情報を表示する機能だけでなく,データベースと連携して,データを多次元分析した結果を表示する機能を備える。米バイアドアや米ブリオ・テクノロジーズなどが,多次元データ分析機能を備えるEIPを構築する製品を発売している。(西村 崇=日経コンピュータ)