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【RFIDユーザーフォーラム・レポート】実証実験で具体的に見えてきたRFIDの効果と課題(2)

 日本アパレル産業協会の吉村和夫顧問は,「アパレル業界標準RFIDシステムを目指して」と題し,2004年2月に実施した実証実験の取り組みを紹介した。13.56MHz帯の無線ICタグとリーダー/ライターを用いてケース内の商品の一括読み取りや読み取り距離,金属製棚の反射波の影響を調べるなど技術的な検証と,データ書き込みなどの運用面の検証を実施。「正式な評価はこれからだが,入出荷などの作業処理は50〜60%削減できる」とみている。実証実験の結果,現状の無線ICタグの課題も明らかになった。「離れたタグの一括読み取りには限界がある」ため,小分けして読み取ったり,アンテナを近づけたりといった運用上の工夫が必要になるという。また,当初想定していた物流作業の効率化だけではコスト効果が得にくいとして,「消費者サービスなど,情報の多目的活用が必要になる」と述べた。

 協賛企業による応用事例セッションでは,NTTデータ技術開発本部副本部長 事業戦略部ユビキタス推進室の山本修一郎室長が「RFIDで進化するコラボレーション」と題し,昨年秋,都内のスーパーで実施された実証実験を踏まえて講演した。実験では物流センターでの在庫管理,店頭での棚卸しなどで効果が見られ,消費者の反応も上々だったという。こうした実証実験から,「RFIDはコラボレーションのキー・テクノロジになる」と強調。そしてユビキタス・ネットワーク社会は,社会を分散化させる触媒と,分散しているリソースを再結合する接着剤の二つの作用があり,「交互に連携することで,人とモノ,モノとモノのコラボレーションが広範に行われるようになる」と述べた。

 大日本印刷ICタグ事業化センターの石川俊治副センター長は,「RFIDシステムの導入事例と実用化に向けた課題」について講演した。無線ICタグ内蔵の招待状を用いた展示会の入退場管理システムや,観光地の案内などに利用される電波ポスターの事例を紹介。タグをポスターにかざすと,その情報が携帯メールに送られる仕組みである。コンテンツを変えることでさまざまな使い方が可能になる。「現在,実用可能なRFIDの用途は,こうした人が持つ用途と,一度に多くのものを読み込まない用途である」と強調した。また,「ICタグ・システムの高精度化やタグの低価格などに加え,プライバシ保護など利用環境の整備が重要になる」と指摘した。

 ソリューションセッションでは,経済産業省商務情報政策局情報経済課の新原浩朗課長が「RFIDの普及に向けた政府の取り組み」を説明。「電子タグの普及はユーザー企業の競争力強化に貢献する」として,その普及のためには無線ICタグの標準化と価格低減が鍵を握ると述べた。

 フォーラムの最後を飾るパネル・ディスカッションでは新原氏,日本アパレル産業協会の吉村氏,家電製品協会の山口勲部長,講談社販売開発部の永井祥一次長が加わり,それぞれの実証実験への取り組みを話した。家電業界では,家電製品にタグを付け物流分野で実験。「バーコードに比べ効率は2倍に向上したが,家電製品はデザイン上の制約もあり,タグのサイズなどの点で課題もある」と指摘した。

 また出版業界では,万引き防止や物流の効率化,在庫管理の適正化などで無線ICタグへの期待が高い。「ただし誤動作で万引き防止用のブザーが鳴れば,大変な問題になる」として,タグの読み取り精度の向上を期待した。アパレル産業協会からは,「各ベンダーのスペック表示がまちまち」として,業界統一を要望した。経済産業省の新原氏は個人情報保護の課題について,「原則として,販売段階で消費者がタグをはずすなどの選択肢を用意すべき」としたうえで,「商品に事故が起こったときの調査といった用途を考慮すると,タグを付けたままにすべき分野もある」と述べた。

(日経BP企画)





 [2004/03/26]

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