オムロン
事業開発本部
RFIDプロジェクト
営業・企画グループ
立石 俊三
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連載3回目の今回は,使用環境により無線ICタグの性能は変わることと,周りに金属があると無線ICタグの性能は劣化することの2点について解説しよう。実際の導入実績から得た経験を踏まえて解説していきたい。今回から,実際の実験データをどんどん出していこう。
無線ICタグが通信に使う電磁波は,テレビやラジオ,携帯電話機などでも使用されている。読者の方は,次のような話を聞いたことがあるだろう。「ビルの谷間ではテレビの映りが悪い」「隣に大きなマンションができてテレビが見えにくくなった」「トンネル内で急にラジオが聞こえなくなった」「新幹線のトンネル内で携帯電話機が通じなくなった」といったものだ。これらの話は,電磁波が使用環境に大きな影響を受けることを示している。
使用環境で性能は変わる
RFIDシステムを導入する際,その使用環境には特に注意を払う必要がある。RFIDシステムはこれまで説明した通り,リーダーが電磁波を放射し,無線ICタグからのごくわずかな受信電波の変化をキャッチすることで,データを送受信している。その繊細さから無線ICタグは環境に敏感になるのである。
RFIDシステムが使用環境によって影響を受けることは,設置現場に取り付けて初めてわかることもあり,場合によっては対策が不可能なこともある。これからは,人やモノなど無線ICタグがさまざまな対象物に取り付けられ,その使用環境はそれぞれ異なることが予想される。実際の使用環境にあわせて次のような点に注意したい。
(1)モーター,インバータ,スイッチング電源などの機器
RFIDシステムの使用周波数と同じ電磁波が,設置場所周辺のモーターやインバータ,スイッチング電源などから放射されると,エラーが発生してデータ通信ができなくなる可能性がある。こうした場合には電磁波の発生源を特定して,放射される電磁波を抑える対策が必要である。
(2)高圧線や動力線,伝送ラインの近傍
電線などの高圧線,エレベータなどが持つ動力線,高速の伝送ラインにおいて,多大の電流が流れることで,その配線の周辺に,RFIDシステムの使用周波数と同じ誘導磁界が放射され,データ通信エラーを発生させる可能性がある。そのときには,この誘導磁界を特定し,その配線を遠ざけるか,シールドするなどの対策が必要である。
(3)短波ラジオ放送など屋外の電波の影響
電波の周波数は有限なので,さまざまな分野ごとに周波数帯が割り当てられている。RFIDシステムを屋外で使用する場合は,そこで使われている電波がデータ通信エラーを発生させる可能性がある。例えば短波ラジオ放送局の近くで無線ICタグを利用すると,悪影響が出ることがある。そのときには,RFIDシステム側でシールドを施したり,アンテナの指向性を変えるといった対策が必要である。