[識者の眼] RFIDは消費者にどう役立つのか(1)NTTデータ 事業戦略部 ユビキタス推進室長 山本 修一郎RFIDに関しては,商品の生産者側だけでなく,消費者側のメリットについて考えることが重要だ。消費者へのメリットが打ち出せれば,商品の価値そのものが高まり,RFIDの普及がそれだけ促進されるからである。生活を支援するという観点からRFIDがどのように役立つのか考えてみよう。 RFIDと消費者の関係を整理すると,(1)無線ICタグ(RFIDタグ)が付いた商品を購入する,(2)無線ICタグが付いた商品を生活のなかで利用する,(3)個人生活のなかでRFIDを活用する――という三つの場合が考えられる。それぞれの場面で,RFIDがどう役立つかを見てみる。 (1)無線ICタグが付いた商品を購入する
商品の購入段階では,商品の材料,製造場所,生産プロセス,製造年月日,典型的な使い方など,さまざまな情報をRFIDのIDによりネットワーク上で検索してダウンロードできれば,消費者が商品を選択する際の判断を助けることができる。 例えばマルエツと丸紅,NTTデータは,無線ICタグが付いた赤いシール「情報満載シール」を商品に張っておき,店頭端末にかざして情報を参照する実験を行った(写真1,2)1)。実験に参加した消費者からは,情報満載シールをかざして入手した情報を見て,いままでは買わなかった商品を購入したという声が出ている。日本では欧米と異なり,もともと対面販売の風土があり,よりたくさんの商品情報を購入時の判断材料にしたいという傾向があるのかもしれない。また,これからは消費者が自らの判断で商品を選ぶ「自己責任の時代」になると言われている。生産者が自社商品を差異化するためにも,消費者により多くの情報を提供していくことが重要になるだろう。 RFIDを使うと,インターネットが可能にした生産者と消費者間の緊密なコミュニケーションをさらに充実させることもできる。 インターネットにより,消費者は商品の生産に参加できるようになった。例えば,消費者が生産者に希望する商品を伝え,一定数の消費者が集まったら商品を生産するようにする,または,消費者が生産者とともに新製品を企画する,といったものである。消費者は商品の販売にも関与できるようになった。個人が自分のWebサイトで商品情報を紹介して販売を仲介するアフィリエートなどがその例だ。 RFIDを使えば,同様の仕組みを,店舗の中や街角にも広げられるようになる。携帯電話にRFIDのリーダーが付くとしよう。RFIDが付いた商品に携帯電話をかざすと,RFIDのIDから自動的に商品のメーカーのサイトなどにアクセスするという仕組みを作れるだろう。消費者はパソコンを使わなくても,商品に触れたその場で感想や意見を生産者に伝えられる。そのサイトで消費者同士が意見を交換することもできるだろう。
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