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[真価を探る]RFIDプライバシを考える(第1回-2)

2010年のクリーニング店では?



 しかし今から思えば,その日を境に少し妙なことが起き始めた。初めて行ったショップでパンツを探していると,店員さんに「お客様,78cmから80cmのものはこちらにございます」と突然言われた。確かに私のサイズにぴったりだ。これだけならそれほど不思議なことではなかった。このように体形や趣味をぴたっと店員さんに当てられることは,ここ2,3年前から何度か起こっていたからだ。でも今回は違っていた。このショップでは結局何も買わなかったのに,後日ショップからダイレクト・メールが届いたのだ。もちろん,住所や名前などは教えてないのに。別の日には,いつも利用しているスーパーに買物に行った。すると翌日には見慣れないメールが届いた。別のスーパーからクーポン付きのチラシ・メールを受け取ったのだ。

 何回かこうしたことが続いて,あることに気づいた。妙なことが起きたとき,いつもあのクリーニング店に出した洋服を着ていた気がするのだ。試しに今度は別の洋服を着てスーパーに行った。それでもやっぱりメールが届いた。洋服のせいではなかったのだろうか。

 それでも気味が悪かった。洋服も少し古くなってきていたため,ゴミとして捨てた。その数日後,悪夢のような状況になった。数社のブランドやショップ,古着屋,質屋などからダイレクト・メールが押し寄せたのだ。最悪だ。洋服を捨てたから次を買えということだろうか。私の行動が筒抜けになっているようでとても気味が悪い。まだダイレクト・メールだけで済んでいるが,これからはどうなるのだろう。


プライバシ問題の本質に迫る

 少し長くなったが,今から6年後を想像して,洋服を初めあらゆるものに無線ICタグが装着された世界をシナリオ風に描いてみた。洋服に付いた無線ICタグが購入後にどのように活用され,また,それによって,どのようなプライバシ侵害が起こりうるのかを例示したつもりだ。もっとも,その実現性や妥当性については,まだまだ議論の余地があることを承知いただきたい。

 紹介したクリーニング店の例では,「これぞRFID」といった派手な使い方はせず,RFIDが無くてもできるかもしれないといった程度に地味にRFIDを活用させてみた。RFIDの自動認識/個体識別機能は非常に基本的なものであるため,むしろこうした地味な応用の積み重ねによりインフラ化されていくのかもしれない。このことは逆に消費者が意識しないようなところで地味にRFIDが活用されていき,無意識のうちに徐々にプライバシ侵害が拡がってしまう危険性をも示唆している。





 [2004/03/09]

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