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[真価を探る]市販の書籍にタグを付けた理由(第3回-1)実世界がインターネットの延長になったら?
慶應義塾大学
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連載の第1回において,RFIDが社会にもたらす影響が五つの層に分けられることを説明しました(図1[拡大表示])。その最下層が「電波による物体の自動認識」であり,「物体に付けられたタグが無線により識別子を返すかどうか」ということでした。前回の第2回では,この第1層が実際に書籍において正しく機能し続けられるのかどうかを調べました。約9.8%の無線ICタグがどこで破損したのかを探りました。
第3回の今回は,第1層の上で機能する第2層から第5層について解説します。
第2層:物体の追跡
第1層により識別子を取得できると,異なる時刻や地点で同一の識別子を取得することで,物体を追跡できるようになります。この第2層の機能により,情報システムから見ると,物体を持続するエンティティ(=実体)として扱えられるようになります。
絵本プロジェクトでは,この層の実験を現在,2種類実施しています。一つは,返本された本の棚卸し作業を効率化する手法の検証です。もう一つは,1冊の本が,その一生のうち,どれくらい出版社と書店の間を往復するかという,今まで謎だった返本サイクルを解明しようというものです。
現在,初版本について返本された商品の最初の棚卸しを行い,第1回のサイクルを記録したところです。半年後,2回目の棚卸しで再度調査することにより,どの個体が返本サイクルを2度繰り返したかや,全体におけるその率はどのくらいか,などが分かることになります。
第3層:物体の情報化
エンティティに対しては,情報を結び付けたり,結び付けた情報を取得したりすることができます。この第3層の機能により,さまざまなアプリケーションを実現することが可能となります。
絵本プロジェクトでは,絵本と所有者を結び付ける実験も行っていますが,購入されたがいまだ所有者の手に渡っていない状態,すなわち,これから贈与される本についても注目しています。