u-コンセントの試作機
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 NTTネオメイト,ベンチャー企業のブイキューブブロードコミュニケーション,富士精密は2005年7月19日,携帯電話を利用して家電機器を遠隔コントロールするサービス「u-コンセントサービス(仮称)」を発表した。専用のコンセント「u-コンセント」を使い既存の家電機器を制御できる点が特徴である。同年10月から3カ月ほど実地試験を実施し,2006年3月から商用化する予定。

 家庭には商用電源のコンセントの代わりに家電機器に電力を供給するu-コンセントと,家電制御用の赤外線送信機を設置する。家電機器の電源プラグをu-コンセントにつなぐと,u-コンセントの内部で電流特性を解析する。解析結果は,NTTネオメイトが持つサーバーにインターネットを介して送信される。サーバーは電流特性と機器の情報(メーカーや種類,動作モードなど)を対応付けるデータベースを持ち,機器と動作状況を把握できる。ユーザーが携帯電話やパソコンからサーバーにアクセスすると家電の状況が一覧でき,必要に応じて電源のオン・オフや録画予約といった操作ができる。サーバーは,アクセスした機器固有の番号(携帯電話ならば製造番号など)とパスワードで,ユーザーを認証する。

 制御方法は大きく二つ。u-コンセントもしくは赤外線送信機を使う。前者はアイロンや照明などの電源をオン・オフする。後者はDVDレコーダーやエアコンなどをリモコンで操作する。赤外線送信機には,あらかじめ各家電機器を操作する赤外線リモコンの制御信号を登録しておく必要がある。電流特性と機器の対応付けや,赤外線リモコンの登録作業は,NTTネオメイトが社員を各家庭に派遣して実施する。家電情報のデータがある程度蓄積できた時点で,ユーザーが設定できるようにする。

 機器は,消費電流のピーク値や,電流のピーク値から8分の1や10分の1の値になるまでの時間など5種類の情報から識別する。これら電流の特性で機器の種類や状態が分かるという。この検知方法は,東京工科大学の松下温教授と伊藤雅仁講師が3年ほど前に開発した。松下教授は,「これまでの遠隔操作サービスは,制御対象となる機器に工夫が必要だった。価格が高くネット対応にする敷居が高い。また,家電は壊れるまで使うため使用期間が長く,そう簡単には買い換えられない。そこで,家電機器自体ではなく,電力供給の入り口となるコンセントに工夫を加えようと考えた」という。

 10月からの実地試験は,大阪府内の既設マンションの住民を対象とする。これを基に価格やサービスの詳細を決定する。サービス開始までに,u-コンセントも小型・軽量化を進める。今のところ赤外線送信機とu-コンセント2つ(機器は4台接続可)をセットで3万円程度で販売し,サービス料金は月額500円程度にする予定という。

 (堀内 かほり=日経バイト)

u-コンセントの試作機
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