インテルは2005年6月15日,マルチスレッド処理の記述を容易にしたC/C++コンパイラとFortranコンパイラの新版9.0を発売した。同社の代理店であるエクセルソフトが販売する。Linux版とWindows版がそれぞれある。
 9.0版の特徴は,(1)OpenMP 2.5に対応し,OSのスレッド処理を直接記述しなくてもマルチスレッド対応アプリケーションを開発できる,(2)コンパイル時間の短縮と最適化の強化を実現,(3)Linux版にサブルーチンの戻り値が書き換えられていないかを検証するコードを生成するオプションを追加,など。
 OpenMPへの対応は,ソースコードに指定したディレクティブに従って自動的に並列処理用のコードを生成するというもの。グローバル変数をループ内で参照していても,スレッド間で競合が発生せず並列性を保証するコード生成が可能になったという。このコードによって,処理時間が2.8秒から0.8秒に短縮するデモを実演した。またWindowsで動くFortranコンパイラはこれまで米Hewlett-Packard社が提供していた「Compaq Visual Fortran」の後継になる。
 価格はC/C++コンパイラである「Intel C++ Compiler」が6万4260円,Windows版のVisual Fortran Compiler」のスタンダード版が7万5915円,プロフェッショナル版が19万5825円,Linux版の「Intel Fortran Compiler」が10万3845円。Windows版のコンパイラはそれぞれMicrosoft社のVisual Studioに組み込んで利用できる。

(北郷 達郎=日経バイト)