米Nethra Imaging社は2005年6月9日,携帯電話用の画像処理チップ「NI-2050」を発表した。対応画素数は300万画素まで。主な特徴は,暗い場所での撮影や手ぶれ補正機能の精度が高いこと,およびモジュールの消費電力が低いことである。撮像素子はCMOSセンサーとCCDの両方に対応する。縦8mm×横8mm×厚み1~1.2mm(実装時)のパッケージに,画像処理エンジンのほか32KバイトのSRAM,64Kバイトのフラッシュ・メモリー,CPUコア(ARM7)が内蔵されている。

 携帯電話で一般的なDSP(Digital Signal Processor)を使って画像処理すると,すべてをソフトウェアで実現しなければならない。NI-2050は,オートフォーカス,自動ホワイトバランス,赤目補正などはソフトウェアで実現するが,暗闇での撮影(夜間モード)や手ぶれ補正といった高度な機能は専用のチップで処理する。

 この結果,機能向上と低消費電力を実現した。手ぶれ補正は32ピクセル分のズレまで補正でき,暗闇での撮影は0.1ルクスの照度でも可能だという。実際に,部屋の電気を消して0.7ルクスの場所で表示するデモを披露した。また,ハードウェアにより処理を高速化した。処理速度は54Mピクセル/秒で,300万画素のデータであれば1秒間に18フレームを処理できる。消費電力については,300万画素のCMOSセンサーにNI-2050を組み込んだモジュールで100mW程度となる。ちなみに,市場に出回っている130万画素のCMOSセンサーと画像処理チップで約150mWという。

 サンプル出荷はすでに始めており,2005年第3四半期に量産を開始する。同社によると,同年第4四半期にはこのチップを搭載した製品が出荷される見込みという。価格は出荷量によって変わるが,1万個の製造で1個当たり8ドル。2006年の第1四半期には600万画素のセンサーに対応する製品も投入する予定という。

(堀内 かほり=日経バイト)