Eclipse Foundationは2005年6月6日(米国時間),Javaのレポート作成ツール「BIRT」の1.0を発表した。データベースに蓄積された情報を用途に応じて分かりやすく表示するツールである。BI(Business Intelligence)などの分野で利用される。BIRTは2004年10月にEclipseのトップ・プロジェクトの一つとして活動を開始した。プロジェクトを牽引するのは,従来WindowsやUNIX環境向けのレポート作成ツールを開発/販売してきた米Actuate社。新たにJava版のレポート作成ツールを開発し,Eclipse Foundationでオープンソースとして公開した。同社のN. Nobby Akihaマーケティング担当副社長と,プロダクト・マーケティングのディレクタを務めるJeffrey M. Morris氏に,BIRTプロジェクトの経緯や今後の展望について聞いた。(聞き手=八木 玲子)

――自社のソースコードのオープンソース化に踏み切った理由は。

 Eclipseの勢いに乗って,多くの開発者に使ってもらうためだ。Javaの開発者は,全世界で450万人ほどいると言われている。このうちの65%が,開発環境としてEclipseを使っているという。つまり200万人を超えるユーザーがいるということだ。ここで公開すれば,ユーザーは自ずと増える。これまで蓄積してきたノウハウを集めてJava版のレポート作成ツールを新たに開発し,公開した。自社製品の既存ユーザーは現在1万人ほどだが,BIRTがうまくいけば,1年に10万人の開発者に使ってもらえるかもしれない。
 また,開発スピードや品質の向上も期待している。オープンソースだと多くのユーザーに評価してもらえるし,フィードバックもすぐに得られる。社外の開発者にも開発に参加してもらえる。

――BIRTをオープンソース化して,どのようなビジネスに結びつけるのか。

 BIRTを利用する開発者に対して,さまざまなサービスを提供する。保守や,技術的なサポートだ。また,BIRTの追加機能を有償で提供することも考えている。こうしたビジネスを拡大する意味でも,ユーザー数を増やすことが大切だ。
 また将来的には,自社製品とBIRTとを何らかの形で連携させることも考えている。それで自社製品のユーザーが増えれば嬉しいことだ。

――競合となるのは。

 同じくオープンソースのレポート作成ツールとして「Jasper」がある。調査によれば,現在のシェアはJasperが23%ほど,BIRTは5%ほどだ。ただJasperは,Eclipseには対応していない。これほどEclipseが強い影響を持っていることを考えると,BIRTの今後に期待できる。