オープンソースで開発が進むGUIアプリケーションの統合開発環境(IDE)「WideStudio/MWT」が,Eclipse Foundationが開発するIDE「Eclipse」に組み込んで利用できるようになる。2005年4月25日に開催された「Eclipse Japan Working Group」の発足セミナーにおいて,富士通ソフトウェア事業本部の田中茂氏が明らかにした。WideStudio/MWTは,富士通の社員である平林俊一氏が中心になって開発している。富士通は,WideStudio/MWTの開発作業を平林氏の業務の一部として認めている。Eclipseのプラグインとして動作するWideStudio/MWTを現在開発中で,2005年6月にはベータ版を公開する見込みだ。

 WideStudio/MWTは,Windows,Linux/UNIX,MacOSX,BTRON,T-Engine,μCLinuxなどで動作するGUIアプリケーションを開発するためのツール。独自のGUIライブラリを用意しており,一つのソースコードをコンパイルし直すだけで,さまざまなプラットフォームで動くアプリケーションを開発できるのが特徴である。複数のOSやCPUへの対応が求められる組み込みソフトウェアの開発者の間で,特に人気を集めている。Eclipseは組み込み技術者の間でも広く使われるようになってきており,この上で動作するWideStudio/MWTの開発を決めた。ちなみにWideStudio/MWTもIDEとして作られているが「売りはGUIライブラリ。IDEは,GUIライブラリを使ってもらうためにおまけで用意したようなもの」(平林氏)。プログラミングやデバッグの環境としては,Eclipseに及ばない面があった。

 同セミナーでは,Eclipse Foundationのエグゼクティブ・ディレクタを務めるMike Milinkovich氏の講演もあった。Eclipse Foundationは,組み込みソフトウェアの開発支援機能の充実を今後の最重要テーマの一つとして考えているようだ。「EclipseをベースにしたC/C++言語のIDEに改良を加え,対応デバイスを増やしたり,機能を充実させたりする計画が進んでいる。対応するプログラミング言語も増やしていきたい」(Milinkovich氏)。

(八木 玲子=日経バイト)