IDF 2005 Springの二日目は,モバイルをテーマにした基調講演で始まった。講演者は上級副社長で最近作られたMobility GroupのGeneral Managerを兼務するSean Maloney氏。次世代Centrinoプラットフォーム「Napa(開発コード名)」を使ったデモや,WiMAXを強調していたのが印象的だった。

 NapaはCPU「Yonah」,チップセットの「Calistga」,無線LAN機構の「Golan」(いずれも開発コード名)の組み合わせを指す。Yonahはシングルコアとデュアルコアの2種類がある。これらの組み合わせにより,「性能と携帯性,電池駆動時間,無線接続性を高める」(Maloney氏)。例えばGolanは基盤面積を縮小し,小型化に貢献した。電池駆動時間も,現行のDothanよりも悪くならないと表明している。Napaのポイントは性能の向上であり,モバイル環境でも我慢が不要な性能を目指しているという。

 コンピュータ側の性能があがると,今度はネットワークの性能が課題となる。またネットワークに関しては,十分なエリアをカバーしていないと普及しない。ここを目指すものがWiMAXであるという。WiMAXは広域を対象とした無線LANシステムで,「Wi-Fiが普及して業界標準となったような動きがWiMAXにはある。最初のグローバルなブロードバンドになる」(Maloney氏)。

 またIntelが2005年後半に発売予定の携帯電話向けのプラットフォーム「Hermon(開発コード名)」もデモンストレーションして見せた。Bluetoothで接続するので,携帯電話自動的に識別し,自動的にデータの同期をとる。日本で見る携帯電話と比べて大きく,PDAに電話機能が付属したものに近い。

 続いてDigital Home GroupのGeneral ManagerであるDon MacDonald氏が登壇し,「Digital Home」のコンセプトについて語った。ネットワークからダウンロードした高画質のコンテンツを再生させたり,ゲームを実施するといったデモを繰り広げ,同社製品が獲得し切れていない市場の開拓に意欲を見せていた。例えばPentium Dを使えば,子供がベッドルームでゲームをしているのと同時に,居間で両親がオンラインのビデオを鑑賞できるといった具合だ。ただ同じパソコンを使わなければ,DVD鑑賞とゲーム・プレイは今でも普通にできること。この市場に向けて積極的に取り組む意気込みは分かるが,新しい提案になっているとは感じられなかった。

(北郷 達郎=日経バイト)