米Airgo Networks社のMIMO(Multiple Input Multiple Output)技術を搭載した家庭向け無線LAN製品が続々登場している。MIMOは複数のアンテナで複数データを送受信することにより,最大で108Mビット/秒の伝送速度を実現する技術。家庭向け製品は2005年2月に入り相次ぎ発表された。まず4日にバッファロー,11日にネットギア,16日にプラネックスコミュニケーションズといった具合である。いずれもIEEE802.11b/g規格にも対応した無線LANルーターや無線LANカードである。発売開始はバッファローとネットギアが3月上旬,プラネックスが4月上旬の予定。価格は無線LANルーターが2万5000円~3万円,無線LANカードが1万3000円程度。

 Airgoが搭載するMIMO技術では,2本のアンテナで異なるデータを送信し,3本のアンテナでそれぞれ受信して合成する。伝送路環境が悪くても3本のアンテナで受信信号を平均化するため高いスループットを維持できる。また,電波の到達距離も長くなる。同社の実験データによると,アクセス・ポイントから30フィート(約9.14m)で約40Mビット/秒,278フィート(約84.73m)でも約13Mビット/秒の実効速度が得られたという。

 ちなみに,Airgoは2月16日に日本法人を設立した。記者会見では,見通しがよい部屋で約40Mビット/秒後半の通信速度を実演した。ビットレートが約10Mビット/秒のストリーミング映像を同時に4本流しても映像が乱れることはなかった。今後はチップセットやソフトウェアだけではなく,設計情報の提供なども実施するという。

(堀内 かほり=日経バイト)