ソニーは2005年2月15日,単位体積当たりの容量を同社従来品に比べて30%高めたリチウムイオン2次電池「Nexelion」の開発を発表した。これまで1991年の製品化以来変化のなかった負極を初めて変更した。

 リチウムイオン2次電池はリチウムイオンが正極と負極の間を移動することによって充放電する。負極にカーボン・グラファイト,正極にコバルト酸リチウムを使う構成が一般的だ。Nexelionは正極にコバルト酸リチウムにコバルト,ニッケル,マンガンなど複数の金属を混合した新材料を,負極にスズとコバルト,炭素などの複数元素を均一に混合した「スズ系アモルファス負極」をそれぞれ採用。加えて電解液を調整することで30%の容量増を実現した。また,スズ系アモルファス負極は従来のカーボン・グラファイトよりリチウムイオンを受け入れる性質が強いため,充電効率が約20%向上したという。例えば空の状態から満充電容量の約90%の容量まで,約30分間で充電できる。

 容量増と合わせて低温時の放電特性の劣化が減少した。一般にリチウムイオン2次電池は温度が低下すると容量が減るため,冬季の屋外での利用を苦手とする。Nexelionは0℃でも25℃の放電容量の90%を維持。-20℃でも同70%を維持できるという。

 最初に製品化するのは,直径が14mmで高さが43mmの円筒形型。容量は910mAh。重量は20gである。2005年春にデジタル・ビデオ・カメラ向けのバッテリとして製品化する。

(高橋 秀和=日経バイト)

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