2005年7月,組み込みソフトウェア開発の腕比べをする大規模なコンテストが開催される。デンマークLEGO社の「LEGOブロック」を組み立てて作ったロボットに自作のプログラムを組み込み,その出来を競い合う「ETソフトウェアデザインロボコン」だ。組み込みソフトウェア開発に関心のある人なら,誰でも参加できる。2月22日に説明会が参加されるので,興味ある人は参加してみてはいかがだろうか。

 このコンテストは,2004年まで「UMLロボコン」という名称で開催されていたコンテストを発展させたもの。「昨年までは“UML”という語が象徴するとおりソフトウェア開発の設計/開発工程の教育を主としてきたが,今後は要求分析からテストや検証まで,組み込みソフトウェア開発のすべての工程をコンテストの対象にしたい」(情報処理推進機構ソフトウェア・エンジニアリング・センター 組込み系プロジェクト 研究員の渡辺登氏)というコンセプトのもと,名称を変更した。主催者も「ETロボコン実行委員会」へと変わった。日本システム協会(JASA),組み込みソフトウェア管理者・技術者育成研究会(SESSAME),情報処理推進機構ソフトウェア・エンジニアリング・センター(SEC)などの代表者が集まって組織する団体だ。昨年より,コンテストの規模も拡大する。昨年の参加チームは40チームほどだったが,今年は70~80チームを見込んでいる。

 ただ今回は生まれ変わって初めての開催ということもあり,コンテストの内容は昨年と同様のものになる予定。UMLで作成したソフトウェアのモデルと,実際にそのソフトを組み込んだロボットを走らせる競技会の二つが審査の対象だ。まず競技会の1週間ほど前に,UMLで記述したモデルを提出する。組み込みソフトウェア開発のスペシャリストたちがその良しあしを評価する。このモデルは,競技会の会場に張り出される。

 競技会は,7月2,3日に内田洋行の潮見ビル(東京都江東区)で開催される。テレビドラマ「踊る大捜査線」の舞台にもなった会場だ。ここで,床に描かれたコースの上をどれだけ速く走行できるかを競い合う。純粋にソフトウェアの出来を比較するため,ハードウェアはみな同じものを使う。ロボットを作るためのLEGOの部品とプログラム開発環境である「LEGO MINDSTORMS」が配布され,参加者はLEGO MINDSTORMSでプログラムを開発し,赤外線でロボットに転送する。ここで優秀な成績を修めたチームは,11月に横浜で開催される「ETロボコン・チャンピオンシップ大会」への出場権を得られる。チャンピオンシップ大会は,組み込み技術の展示会である「Embedded Technology 2005」の会場で開かれ,海外からも招待チームが参加する予定だ。

 またこのコンテストに特徴的なのが,モデリング技術などを伝授する技術教育セミナーがコンテスト前(4月~6月)に開催されること。「大学などでもモデリングに関する講義はあるが,現場で使えるものとは異なる場合も少なくない。実際に企業で活躍する技術者に生きたモデリング技術を学べるのはとても貴重な機会」(SECのプロジェクト統括グループ 研究員の川井奈央氏)。またセミナーでは,SECの研究成果物の一部も参加者に提供される予定。コーディング規約や,技術スキルの指標であるスキル標準などである。コンテストを通して実際にこれらを使ってもらい,フィードバックを受けるのが目的だという。

 説明会は,2月22日に東京都中央区の東陽テクニカ本社ビルで開催される。3月に参加チームの募集があり,その後セミナーを経て7月の本番に至る。

(八木 玲子=日経バイト)