(1)のチャネル数を増やすサービスの名称は「エアエッジ[プロ]」。現行の128kビット/秒のサービス(4xパケット方式)では4チャネル(1チャネル32kビット/秒)を使って通信していたが,エアエッジ[プロ]では8チャネルを使って最大256kビット/秒に高速化する。現在,同社は高速化に備えて新しい基地局への切り替えを進めており,1基地局当たりのチャネル数は4チャネルから14チャネルに増やす(音声の場合は11チャネル使える)。
(2)の体感速度を高速化する技術はパソコン向けが「メガプラス」,エアエッジフォン向けが「エアエッジフォン『高速化サービス』」である。メガプラスはパソコンに専用ソフトをインストールし,メガプラス用サーバーとの間で画像圧縮などを実行する。既存のエアエッジおよびエアエッジ[プロ]に適用できる。エアエッジ[プロ]にメガプラスを適用することで,体感速度が1Mビット/秒超になるという。この技術は米Venturi Wireless社が開発したもので,高圧縮にしても画質が落ちない画像圧縮技術を使い,テキストを優先的に送るなどデータの種類によって順序を変えて送信することで実質的に高速化する。ちなみに,ストリーミングや Macromedia Flashの場合はすでにデータが圧縮済みのため,あまり効果はない。一方のエアエッジフォン「高速化サービス」の場合,専用ソフトは不要。サーバー側で画像などのデータを間引きしてエアエッジフォン端末に送信する。
エアエッジ[プロ]専用端末の発売開始時期と料金,およびメガプラスのサービス料金は未定。メガプラスのソフトウェアは2月2日以降に発売される端末に同梱されるUSBメモリーに入っている。メガプラスは2005年7月末まで無料キャンペーンを実施する。なお,既存ユーザーもメガプラスを利用でき,一定期間(期間は未定)同社のサイトから専用ソフトを無料でソフトをダウンロードできる。エアエッジフォンについては,端末側にソフトをダウンロードする必要はなく,設定用Webページ(オンラインサインアップセンター)に接続して「高速化サービス」という項目をオンにすれば申し込める。料金は未定だが,2005年4月末までは無料。
同社は今後の高速化技術についても発表した。今回のように使用するチャネル数を増やすのに加え,変調方式を変える。2005年度中には,8チャネルを使い変調方式を現行の4値の位相偏移変調(QPSK)から8値の位相偏移変調(8PSK)に変えて最大384kビット/秒にする。2006年度中には8チャネルを使い変調方式に16値または64値の直交振幅変調(QAM)を採用することで最大512k~768kビット/秒のサービスを考えている。変調方式は新しい基地局の場合,ファームウェアの変更で対応可能。また高速化に合わせて基地局から後ろの通信網をIP化することも計画している。