ZigBee Allianceは2004年12月14日,近距離無線通信技術ZigBeeの仕様を承認したと発表した。ZigBee Allianceは,100社以上の企業が集まる標準化団体。日本からは,三菱電機や沖電気工業などが参加している。
ZigBeeは,省電力を特徴とした無線通信規格である。データの転送速度は250kビット/秒と低速だが,単三アルカリ乾電池2本で数カ月~2年程度動作できる仕様になっている。通信可能距離は5~500mである。用途は大きく二つ考えられている。一つは家電を遠隔操作するリモコンでの利用。赤外線の代替用途である。もう一つは,いわゆるセンサー・ネットワークでの利用。小型のセンサーからネットワーク経由で情報を収集し,ビルの施設制御や環境測定などに利用する。
ZigBee Allianceが今回公開した仕様は,ネットワーク層以上の部分に関するもの。パケットのルーティングやセキュリティ確保の方法,アプリケーションとのインタフェースなどを定めている。物理層(PHY)とMAC層の仕様に,IEEEが標準化したIEEE802.15.4を利用する。
仕様は現時点ではZigBee Allianceのメンバーにしか公開されていないが,関係者によれば年内に一般公開する予定だという。
ZigBeeを用いた無線センサー端末の開発には各社が着手している。2004年に入って,数社からドラフト版の仕様に対応したチップが発表されていた。仕様が確定したことで,2005年初頭には正式承認後の仕様に準拠した製品が登場することになりそうだ。