東芝は2004年12月14日,世界で初めて「垂直磁気記録方式」を採用した1.8型ハードディスクを発表した。40Gバイト容量の「MK4007GAL」を2005年第2四半期に,80Gバイトの容量の「MK8007GAH」を同年第3四半期に量産開始する。1.8型ディスク1枚当たりの容量は40Gバイト。垂直磁気記録方式を採用することで,記録密度をこれまでの100Gビット/平方インチ前後から133Gビット/平方インチと約30%向上させた。1975年に東北大学の岩崎俊一名誉教授(現東北工業大学学長)が垂直磁気記録方式を提案して以来,日立製作所や東芝などのハードディスク・メーカーが開発を続けてきたが,およそ30年を経てついに製品化を果たした。

 垂直磁気記録方式はディスクに対して垂直方向に磁界をかける。一方,従来の記録方式である「面内記録方式」では水平方向に磁界をかける。面記録密度を高めると,1ビットの記録に使う磁区の大きさが小さくなる。磁区が小さくなり過ぎると常温で記録磁界を保てない「熱ゆらぎ」と呼ぶ現象が起き,これが記録密度向上の妨げとなる。これに対し垂直磁気記録方式では,面記録密度とは無関係に垂直方向に磁区を大きくできる。

 面内記録方式の限界とされている記録密度は200Gビット/平方インチ前後。現在のハードディスクの記録密度は100Gビット/平方インチ程度で,2005年から2006年にかけて垂直磁気記録方式に移行せざるを得なくなる。東芝は3.5型や2.5型に比べると容量の面で見劣りする1.8型にいち早く垂直磁気記録方式を採用することで,他社との差別化を図る。今後は現在開発中の0.85型ハードディスクに垂直磁気記録方式を採用する予定だという。

 製品の主な仕様は以下の通り。回転数は4200回転/分。平均シーク時間は15ms。インタフェースはATA/ATAPI-6。外形寸法はMK4007GALが幅54×奥行き78.5×高さ5mm。重さは51g。同MK8007GAHが幅54×奥行き78.5×高さ8mm。重さは62g。

(高橋 秀和=日経バイト)

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