サン・マイクロシステムズは2004年11月30日,同社が開発・販売するOSの新版「Solaris 10」を発表した。600項目以上の機能改良を施したほか,Javaと同じようにソースコードを改良するコミュニティを設立し,オープンソースに基づく開発プロセスへ移行する。2005年1月31日に無償ダウンロード提供を開始し,有償のメディアキットを同年2月に発売する予定。

 新版の特徴はまず,主としてネットワーク周辺のコードを見直したことと,マルチスレッド処理の機能を改善したことにより性能を向上させた。例えばNFSならば69%,32ビットのJava仮想マシンの性能は90%向上したという。また「DTrace」と呼ぶプロファイラ機能を装備。OSカーネルに1万カ所以上の測定ポイントを置いて,性能のボトルネックとなる箇所を抽出できる。仮想マシンの考え方に基づくソフトウェアによるアプリケーション実行のパーティショニングや,Trusted Solarisの機能を取り入れたセキュリティ強化なども果たされている。

 Linuxが強いフロントエンド・サーバー市場に進出するため,Linuxとの互換性を重視した。具体的にはLSB(Linux Standard Base)のAPIを標準で装備し,Linuxアプリケーションの直接実行も可能にした。ただしLSBではカバー範囲が狭いため,「Red Hat Linux Enterprise版との互換性も確保していく」(プロダクトマーケティング本部本部長の纐纈昌嗣氏)。このほかクライアントOSとしての利用のために。Java Desktop Systemを装備した。

 5CPU以上の場合のライセンスについては決めていない。また年単位のサポート・サービスを提供する。サービス料金は1万4400円,2万8800円,4万3200円の3種類がある。オープンソース開発のライセンスについては明確に決定していないが,「Java Community ProcessのSolaris版だと思って欲しい」(ダン・ミラー社長)。

(北郷 達郎=日経バイト)