ボーランドは2004年11月4日,統合開発環境(IDE)の新版「Borland Delphi 2005」を発表した。Pascal言語に基づいた独自の言語「Delphi」に加え,C#による開発も可能にしたのが特徴。2004年12月6日に出荷を開始する。

 Delphiは元々,Windowsプラットフォーム向けのネイティブ・アプリケーションをビジュアルに開発するためのIDE。2002年の「Delphi 7」で.NETに対応し,2004年1月発売の「Delphi 8」では独自のコンポーネント・ライブラリの.NET版「VCL(Visual Component Library)for .NET」も備えた。今回のBorland Delphi 2005は,これにC#のIDE「C#Builder」を統合したものと考えてよい。

 つまり,Delphi言語とC#は同等ではない。.NET Framework上で動作するアプリケーションはどちらでも開発できる。ただし,VCL for .NETはC#言語からは利用できない。またDelphi言語ではWindowsのネイティブ・アプリケーションも開発できるが,C#は対応していない。やや中途半端な印象もあるが,「現在でもDelphiユーザーの多くがC#でも開発をしている。今後.NET Frameworkの普及が進めば,一つのプロジェクトで複数の言語を利用する場面も出てくるだろう。同時に,Win32ベースのアプリケーションを保守する局面もしばらく残り続ける。こうしたときに,状況に応じて開発ツールを使い分けるのは効率が悪い。Delphi 2005なら一つの環境で複数の状況に対応できる」(米Borland Software社のDelphi Product ManagementのDirectorを務めるMichael Swindell氏)。

 Delphiでの開発機能における変更点としては,コーディング作業の支援機能の強化が挙げられる。コード変更履歴の管理機能や,文法のミスや関連するヘルプを逐次提示する機能などを搭載した。ユニットテストや,ソースコードの構成変更(リファクタリング)の支援機能も追加した。

 製品は3種類。クライアント・アプリケーションの開発者向けの「Professional」,データベース・サーバーへのアクセスが発生するアプリケーション開発に対応した「Enterprise」,アーキテクト向けの「Architect」である。Architect版は,UMLに基づいてデータベース設計をするためのモデリング・ツールを備えている。作成したクラス図とデータベースを関連付けると,クラス図内のデータを保持/永続化するためのソースコードを自動生成する。価格はProfessionalが7万1400円,Enterpriseが31万5000円,Architectが37万8000円。

(八木 玲子=日経バイト)

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