イー・アクセスは2004年10月14日,ADSLの無線版としてサービス提供を考えている無線通信技術「TD-SCDMA(MC)」の実験データを公表した。同社は,同年5月に実証実験の本免許を取得している。今回公表したのは,(1)ハンドオーバー(経由するアンテナや基地局がが切り替わったとき)の状況,(2)セクター・スループット(セクター内での通信速度の和)の実測値,である。

 実験は,基地局を3局設置し,3セルを構成した環境で行われた。各セルは基地局を中心にして120度ずつ三つのセクターに分かれており(各セクターごとにアンテナを設置している),合計9セクターある。ハンドオーバーについては,ストリーミング映像を映しているノートパソコンを車に載せ,セクター間の移動時とセル間の移動時の映像の様子を見た。どちらともストリーミングが止まることなく映し出されていたという。

 セクター・スループットについては,隣接基地局の干渉を考慮した測定値を公表した。3台同時通信時の場合,平均で4.06Mビット/秒だったという。干渉がない場合は平均4.40Mビット/秒であり,干渉があっても8%しか速度が低下しなかった。

 現在,IMT-2000 TDD方式技術的条件作業班で2010M~2025MHzを使用する無線通信方式の技術要件を検討している。同社によると,2月上旬には技術基準が決定し,その後事業免許が交付されるという。

(堀内 かほり=日経バイト)