日本ヒューレット・パッカードは2004年10月4日,インクジェット・プリンタ8機種を発表した。従来通り複合機に力を入れている。新機種の特徴はインクの耐久性や印刷速度の向上を図ったこと。また一部の機種では,モノクロ写真の印刷画質を高めるために,新たにグレーインクを利用可能にした。店頭および同社のWebサイト「HP Directplus」で販売する。価格はいずれもオープン(詳細は末尾の表参照)。

 同社は「2004年の年末商戦では,インクジェット・プリンタの出荷台数全体のうち半分以上を複合機が占める」(イメージング・プリンティング事業統括の滝澤敦執行役員)と予想している。そこで今回,5種類の複合機を用意した。このうち4種類に新開発のエンジンを搭載している。最大の特徴は,分子構造を工夫して耐久性を高めた新インク。額などに入れた場合に色あせずに保存できる期間はこれまで83年だったが,100年に延ばした。またノズル数の増大や紙送りの速度向上によって,高速化も図った。A4の普通紙に1分間当たり印刷可能な枚数を,従来のモノクロ21枚/カラー15枚からモノクロ30枚/カラー20枚に増やした。印刷解像度はどの機種も4800×1200dpi。

 複合機の上位3機種「HP Photosmart 2710 All-in-One」(以下,2710),「HP Photosmart 2610 All-in-One」(以下,2610),「HP Officejet 7410 All-in-One」(以下,7410)では,グレーインクによりモノクロ写真の印刷画質を高めた。カラー写真の場合,基本のインク・カートリッジ(黒/シアン/マゼンタ/イエロー)と,写真印刷用の淡いインクを含んだカートリッジ(フォトブラック/フォトシアン/フォトマゼンタ)の二つを使う。モノクロ写真の場合は写真印刷用のカートリッジを,オプションのフォトグレー・カートリッジ(ライトグレー/ダークグレー/フォトブラック)に変更できる。これによりグレー部分の階調がより細かく表現できるようになる。またこの3機種は,有線LANインタフェース(10BASE-T/100BASE-TX)を備えており,プリント・サーバーとして機能する。2710と7410は無線LANインタフェースも持つ。従来機種が対応していたIEEE802.11bに加え,新たにIEEE802.11gにも対応した。複合機は5機種すべてが,デジタルカメラと直接接続して印刷するための企画「PictBridge」に対応している。

 単機能プリンタの新製品は3種類。最上位機種は,2710と同等のエンジンを搭載した「HP Deskjet 6840」。グレーインクが利用可能で,IEEE802.11b/gの無線LANインタフェースも備えている。

分類 機種名 HP Directplusでの価格 出荷開始日 解像度(ドット/インチ) インク PictBridge対応 メモリーカード・スロット スキャナ 自動両面印刷 液晶 FAX 無線/有線LAN
複合機 Photosmart 2710 5万円前後 10月27日 4800×1200 6色/4色交換式 CCD方式(2400×4800dpi) カラー
Photosmart 2610 3万5000円前後 10月27日 4800×1200 6色/4色交換式 CCD方式(2400×4800dpi) -(オプション) カラー △(有線のみ)
Officejet 7410 6万円前後 10月27日 4800×1200 6色/4色交換式 CCD方式(2400×4800dpi) カラー
PSC 2355 2万4801円 10月6日 4800×1200 6色/4色交換式 CIS方式(1200×4800dpi) カラー
PSC 1315 1万4805円 10月6日 4800×1200 6色/4色交換式 CIS方式(600×2400dpi)
単機能 Deskjet 6840 2万5000円前後 10月27日 4800×1200 6色/4色交換式 -(オプション)
Deskjet 5740 1万4805円 10月6日 4800×1200 6色/4色交換式
Photosmart 325 1万9803円 10月6日 4800×1200 3色 カラー ×

(八木 玲子=日経バイト)

日本ヒューレット・パッカード