2004年6月27日から米サンフランシスコで開催中のJavaの開発者会議「JavaOne 2004」で,米Borland Software社は統合開発環境「JBuilder」の次版を披露した。JavaServer Faces(JSF)に基づいて,Webアプリケーションの画面をドラッグ・アンド・ドロップで開発できるようになる(写真上)。JavaOne初日に米Sun Microsystems社がリリースした「Java Studio Creator」と同様の機能である。ただし同社は,Java Studio Creatorとは少し異なるアプローチを採るようだ。Java関連のツールを担当するGeorge Paolini氏はインタビューに対し,「Java Studio Creatorのように,開発者にコードを意識させないような作りにはしない。我々は,コードを必要以上に隠さない」(写真下の右)と述べた。

 ドラッグ・アンド・ドロップによる開発しか経験していない開発者は,何か問題が起こったときに対処しづらい。ツール自体がコードを全面に出さない場合はなおさらだ。「例えば昨日も,JavaOneのWebサイトにアクセスしたらJSPで書かれたページで例外が発生してしまった。こうしたとき,Java Studio Creatorのようなツールを使っている開発者,特にスキルのあまり高くない開発者はどこをどう修正したらよいのか分からないだろう。結局,コードを探し出してそれを理解する必要がある」(同社のIDE Program OperationsのBill Patakyシニア・ディレクタ,写真下の左)。こうしたことから,次版JBuilderのJSF機能は開発者にコードを意識させる作りにするという。出荷開始は3カ月以内の見込み。

 またPaolini氏は,ソフトウェア開発全般をツールでサポートする同社のアプローチ「Application Lifecycle Management(ALM)」の重要性を強調した。「JSFは限られた分野の小さな技術に過ぎない。アプリケーションのライフサイクルの中で,画面を開発するのにかかる時間などごくわずか。要求定義から運用まで,全般に渡ってサポートすることが重要だ」(Paolini氏)。そのためには異なる種類のツールが互いに連携し合うことが必要になると述べた。「今のIDEは,元々別々だったテキスト・エディタやコンパイラ,デバッガなどを一つに統合したもの。互いが連携することで,それまでできなかったことが可能になった。例えばコンパイルの前にコーディングのミスをエディタ中で指摘するなど,それ以前は不可能だったことだ。ALMによるツールの統合も,これと同じインパクトを開発の現場に与えられる」(Paolini氏)。

(八木 玲子=日経バイト)