日本IBMは2004年5月17日,サーバーで管理できるクライアント・ソフトの実装技術「IBM Workplace Client Technology,Rich Edition」を発表した。専用クライアント・ソフトの使い勝手の良さと,サーバー中心による管理の容易さの両立を目指している。例えばアプリケーションに適したユーザー・インタフェースを作り込めるため,Webブラウザを利用したWebアプリケーションよりも使い勝手を向上できる。ソフトの更新状況をクライアントがサーバーに問い合わせて自動的にダウンロードするので,管理の手間を削減できる。

 Workplace Client Technologyは,オープンソースで開発されている「Eclipse」というJavaのフレームワークをベースにしている。Eclipseは元々Javaプログラムの統合開発環境(IDE)を実現するプロジェクトだったが,現在ではIDEを実現するためのフレームワークやさまざまなプラグインを構築するプロジェクトに発展している。Workplace Client Technologyが利用するのはIDEの下層にあるフレームワーク。GUIアプリケーションを構築するためのもので,一つのウインドウにさまざまなアプリケーションをプラグインとして組み込めるのが特徴である。Workplace Client TechnologyではEclipseフレームワークの上にクライアント・ソフトを構築するためのAPI群を用意しており,各クライアント・ソフトはこのAPIを利用したプラグインとして実装する。Javaを利用するので,基本的にクライアント側のOSを問わないのも利点の一つだ。

 個々のクライアント・ソフトの更新はあらかじめユーザーが設定したタイミングでサーバーに問い合わせをし,クライアント・ソフトが更新されていれば自動的にダウンロードして更新する。

 この技術はまず,2004年6月末に出荷予定の「Lotus Workplace 2.0」の一部に搭載される。メールや文書共有,インスタント・メッセージなど5種類の製品から成るものだ。さらに2005年初めに発売予定の「IBM Lotus Notes/Domino」でも部分的にWorkplace Client Technologyに対応予定だという。また携帯電話やカーナビなどパソコン以外のデバイス向けの「IBM Workplace Client Technology,Micro Edition」も開発中である。

(八木 玲子=日経バイト)
日本IBM