「2004年第2四半期に64-bit memory extension technologyをXeonに投入する」――。米Intel社CEOのCraig Barrett氏は,2004年2月17日,米国サンフランシスコで開催中の開発者向け会議「Intel Developer Forum Spring 2004(IDF)」の基調講演の中でサーバー/ワークステーション向けのCPUに64ビット拡張を施すことを明らかにした。同社のWebサイトでは「64-bit Extension Technology」と呼ばれている。対象は次世代のXeon(開発コード名:Nocona)および90nmプロセスで製造されたPentium 4「Prescott(開発コード名)」。ただし,Prescottに関しては「ワークステーション向け」に限定する。

 同社の64ビットアーキテクチャ「IA-64」は「Itanium」などに実装されているが,64-bit Extension Technologyはそれとは異なるもの。IA-64ではIA-32命令をエミュレーションの形で実行できるようにしているものの,基本アーキテクチャはIA-32とはまったく違う。これに対し64-bit Extension Technologyは既存のIA-32アーキテクチャを拡張する形で実現しようとしている。アプローチは米AMD社が採用した「AMD 64」と似ている。拡張命令に対応した「IA-32e」モードのなかで,64ビット命令を実行するモードと互換性を保つモードがある点や(AMDはIA-32e相当のモードをLongモードと呼んでいる),64ビットの汎用レジスタを16個備える点など多くの点が共通している。ただし命令セットがAMD 64と互換であるとは言っていない。

 なお,クライアント用CPUへの64ビット拡張に関しては別途行われたプレス・ブリーフィングの中でIntelのWilliam Siu副社長は「今のところ64ビットのアドレス空間を必要とするクライアント・マシンはないだろうし,OSやアプリケーションが64ビット対応していない以上,投入する意味がない」と答えている。

(中道 理=日経バイト)