松下電器産業は2004年1月28日,アルカリ乾電池の1.5~2倍程度長持ちする1次電池「オキシライド乾電池」を発表した。形状は単3型で2004年4月に出荷開始する。同社が大電流を消費するデジタルカメラ用として販売するニッケルマンガン乾電池の後継にあたる。価格は従来のニッケルマンガン乾電池の実売価格が2本で380円前後であるのに対し,オキシライド乾電池は同360円。同社はオキシライド乾電池をアルカリ乾電池と並ぶ汎用電池として位置付け,2005年4月に単4型の製品を追加する予定だ。

 オキシライド乾電池は,負極材料に亜鉛,正極材料にオキシ水酸化ニッケル,電解液に水酸化カリウムを使用。基本構造は東芝電池が2002年3月に出荷開始したニッケル乾電池と同じである。ニッケル乾電池の容量はアルカリ電池とあまり変わらず,電力消費の少ない機器だと電池の寿命が伸びずかえってコスト高になるということがあった。オキシライド乾電池は封入する電解液を増やし,導電剤として使う黒鉛を微細化して電気抵抗を下げて放電特性を改善し,小電流でも効率よく使えるようにした。一般に乾電池は,乾電池の内部に真空状態を作り出し,その吸引力で電解液を充填する。オキシライド乾電池は,真空度を多段階に制御することで,乾電池1本当たりの電解液量を増やした。黒鉛の微細化は,正極材料と電解液との接触面積が増えるため電気抵抗の削減に効果がある。

 同社製のデジタルカメラ「DMC LC-43」による電池寿命の検証では,フラッシュを2回に1回発光する条件で同社製のアルカリ乾電池が144枚撮影できたのに対し,オキシライド乾電池は315枚と約2.2倍の画像を撮影できたという。また,車の模型を使った登坂実験では,アルカリ乾電池搭載車では18度の勾配を登坂できたのに対し,オキシライド乾電池では22度まで登坂可能だったという。

(高橋 秀和=日経バイト)

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