Linuxカーネルの開発グループは2003年12月17日,最新の安定版カーネル「linux-2.6.0」を同グループのWebサイトで公開した。2001年1月に公開された2.4版に比べ,マルチCPU構成での性能向上や2Tバイト以上のファイルへの対応など,大規模サーバー向けの機能改善が図られている。

 カーネル2.4が最大8個のマルチCPUに対応していたのに対し,カーネル2.6では最大32個までのマルチCPU構成に対応している。またプロセスをなるべく特定のCPUで実行するようにしてキャッシュの利用効率を改善するなど,同一個数でも処理性能を上げる工夫もしている。これまで禁止していたカーネル動作中の割り込みを可能にすることで,カーネルに制御が移っている間に他プロセスの処理を実行できるようにした。

 大規模サーバー向けの機能以外にも,電源管理の標準APIである「ACPI」への対応,ジャーナル・ファイル・システム「XFS」やWindowsネットワークのファイル/プリンタ共有プロトコル「CIFS」のクライアント機能のカーネルへの統合など,Linuxコミュニティの成果が反映されている。ただいずれの強化点も米Sun Microsystems社のSolarisや米Microsoft社のWindows NT/2000/XP/Server 2003といったOSでは組み込まれている機能であることを考えると,目新しくはない。

 すでにカーネル2.6のテスト版を採用したLinuxディストリビューションとして,独SUSE LINUX社が「SUSE LINUX 9.0」を,ターボリナックスが「Turbolinux 10 Desktop」をそれぞれ2003年10月から出荷している。大手ディストリビュータの米Red Hat社も,個人向け無償版「Fedora Core」シリーズのカーネルを2.6とした「Fedora Core 2」を2004年第1四半期に公開する予定だ。

(高橋 秀和=日経バイト)

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