日本の大学のコンピュータ・セキュリティ研究グループとマイクロソフトは2003年12月18日,セキュリティの向上に向けて協力していくと発表した。

日本の研究グループは文部科学省 科学研究費補助金 特定領域研究「社会基盤としてのセキュア コンピューティングの実現方式の研究(安全な情報基盤)」に参加している大学の研究室で構成される。安全な情報基盤は,2000年9月から2004年3月まで研究費が割り当てられたプロジェクトである。ウイルスによる攻撃の防御,不正侵入,なりすましといったセキュリティ問題に対処する技術基盤の確立を目的としている。慶應義塾大学,東京工業大学,東京大学,東京理科大学,筑波大学,北陸先端科学技術大学大学院大学の6大学の研究室が参加している。

 今回の協力により,マイクロソフトから研究チームがソースコードの開示を受けるほか,Microsoft Reserchとの間で,情報交換や人的交流を行う。ソースコードの開示により,研究チームは一般情報として公開されていないOSの挙動を把握できるとともに,自由にOSを改変することができるようになる。例えば,Outlook Expressに研究成果を取り込みセキュアなメーラーにするといったことが考えられるという。また,マイクロソフト側にとっては「研究成果の中にあるAPIコールの振る舞いによってウイルスを特定する技術などを得ることができる」(東貴彦取締役)といったメリットがあるという。

(中道 理=日経バイト)