松下電器産業は2003年10月1日,IPsec(Security Architecture for IP)を用いた暗号化通信実行時でも100Mビット/秒を実現できる,ネットワーク家電向けの組み込み機器用IPv6通信モジュールを開発したと発表した。

 このモジュールは,IPv6通信のための処理を受け持つソフトウェアと,IPsec処理を行うハードウェアで構成される。家電製品および家庭内ネットワーク向けに機能を絞りこむで,ソフトウェアのプログラムサイズを70Kバイトに収めた。「現在ある汎用のIPv6ソフトウェアが小さくても約200Kバイトだったのと比較し,約1/3に小型化できた」(松下電器産業)という。

 IPsecをハードウェア処理することにより,IPsecを利用しても100Mビット/秒でデータ転送できる。暗号処理だけでなく,通信先の認証やパケットの生成などIPsecに必要な処理もハードウェアに実装した。

 100Mビット/秒での通信ができるとなると,IPv6の用途が広がる。通信速度が遅ければ,外出先から自宅の家電を制御するといった使い方を中心に考えざるを得ない。だが,100Mビット/秒が可能ならば単に制御するだけではなく,AV機器が直接外部のコンテンツ・サーバーから高画質の映像をダウンロードするといった使い方ができるようになる。同社では,2004年にこのモジュールを搭載したネットワーク家電を実用化する予定である。

(仙石 誠=日経バイト)

松下電器産業