エッジのブースは、LinuxベースのクライアントOS「LindowsOS4.0 日本語版」一色だ。「Windowsとどういうところが違うの?」と物珍しそうにながめるユーザーから,「Windowsとの互換性が気になる」といったパソコンをよく使うユーザーまで,とにかく「まずは触って確かめてみよう」という人々で大混雑している。1日に3回開催されるデモンストレーションも立ち見ができる人気だ。

LindowsOS一色のブース
LindowsOS一色のブース

 LindowsOSは米Lindows.comが開発したクライアントOS。エッジが日本で独占的に販売できる権利を持っており,日本語版を8月29日から出荷開始した。Linuxというと“難しい”というイメージがあるがそんなことはない。見た目が米Microsoft社のWindowsに似ているので,いままでWindowsを使っていたユーザーならある程度操作できる。

 「分かりやすいことが重要なので,シェアが大きいWindowsに似せたユーザー・インタフェースにした。後発である分,きちんと分析をして改良もしている」と開発責任者の板井清司氏は語る。加えて,「LindowsOSは個人使用ならば何台のパソコンにインストールしてよいので,1人のユーザーが複数のパソコンを持つこれからの時代に向いている。また,Linuxはセキュリティに強いと言われているので安心感がある」(板井氏)という。

 機能面では,Webブラウジング,Eメール,MP3や動画ファイルを再生できるマルチメディア・ソフト,インスタント・メッセンジャー,そしてゲームが標準で使える。

 Windowsと大きく異なる点は,「Click-N-Run」という、ネット経由でソフトウエアをインストールする機能。インターネットに接続しているときに「Click-N-Run」というメニューをクリックすると,ダウンロード可能なソフトウエアの一覧が表示される。好きなソフトウエアを選んでクリックすると,Lindows.comのサイトからそのアプリケーションをダウンロードしてインストールできる仕組みだ。

実際に触って使用感を確かめられる
実際に触って使用感を確かめられる

 ダウンロード可能なソフトウエアは、現在1800個。まだまだ増えるという。これらの中には、Linux上で動くソフトウエアの開発者がLindows.comのサイトに個人的に登録したものもあれば,企業が開発した商用ソフトもある。Click-N-Runのメニューは、「オフィス」や「ゲーム」といったカテゴリーに分かれているので,お目当てのソフトを探すのも容易だ。

 「今あるパソコンのクライアントOSは、何か目的があって,そのためにソフトウエアをダウンロードしたり購入したりするというスタイル。でも,やりたいことが明確でない場合は、積極的にソフトをインストールすることは少なく,ブラウジングとメールのためにしか使っていない。Click-N-Runはソフトウエアの一覧から簡単にインストールできるので,まず触っていろいろと試せるのがポイント。そこから使い方を知ったり,ハマったりするようになる」(板井氏)。

 いろいろなソフトを容易にダウンロードできるようにすることで,ブラウジングやメール以外にもパソコンを利用してもらえるようなOSにすることをLindowsの目標に掲げたという。

 ノートパソコン向けに,PHSのデータ通信機能も用意している。今のところDDIポケットのAirH"を動作保証している。NTTドコモの@FreeDも動作確認はできているという。

AirH"にも対応
AirH"にも対応

 ユーザーにとってうれしいのはお手頃な価格だ。OS単体である「LindowsOS4.0 日本語版」が6800円,Click-N-Runサービスの1年間の使用権を加えた「LindowsOS4.0 日本語版 Plus」が1万4800円。

 1年間のClick-N-Run使用期間が切れてしまっても,インストールしたソフトウエアは継続して使用できる。Click-N-Runを継続して、もしくは新たに使いたい場合は、年間9800円でライセンスを購入できる。

 ちなみに,MicrosoftのWordやExcelと互換性があるソフト「StarSuite」はプリインストールされていない。独自にインストールするかClick-N-Runを使ってインストールする必要がある。

(堀内 かほり=日経バイト)