ボーランドは2003年7月8日,C#の統合開発環境「C#Builder for the Microsoft .NET Framework」の日本語版を発表した。米Microsoft社が無償で公開している.NET Framework SDKの上に開発環境を実装した。生成するコードはMicrosoftのものと同じだ。ただ独自コンポーネントを用意するなど,特色を打ち出している。2003年8月4日に出荷を開始する。

 米Borland Software社が6月下旬に出荷を開始した製品の日本語版である。基本的な機能や見かけは,Microsoftの開発環境「Visual Studio .NET」に似ている。Visual Studio .NETとの違いは,ボーランド独自のコンポーネントを用意していることだ。一つが「Borland Data Provider(BDP)」。.NET Frameworkにおいて,データベース・アクセスを統一的に管理するための技術であるADO .NETのアーキテクチャに対応したコンポーネントを拡張したもの。Visual Studio .NETが対応している「SQL Server」や「Oracle」のほか,「DB2」や「InterBase」をサポートしている。もう一つは,米ComponentOne社が提供する33種類のコンポーネント。2次元や3次元のグラフを表示したり,数値の入力や演算に便利な機能を持つコンポーネントが揃っている。

 4種類の製品がある。C#を学びたい初心者や個人開発者向けは「Personal」。WindowsアプリケーションやASP .NETアプリケーション開発に必要な基本機能を持つ。これにBDPの一部やコーディング・ミスを指摘する機能などを加わえたものが「Professional」。「Enterprise」では,BDPのすべての機能や,ソースコードのバージョン管理機能などが利用できる。最上位となる「Architect」には,UMLで記述したモデル図とソースコードとの同期をリアルタイムに取る機能が追加される。

 Personalが1万円,Professionalが6万8000円,Enterpriseが24万円,Architectが36万円。Architect版のみ,出荷開始は2003年9月となる。Personal版の機能限定版をWebサイトで無償公開する予定。商用アプリケーションの開発には利用できず,ComponentOneのコンポーネントも同梱しない。動作OSはWindows Server 2003,Windows XP Professional,Windows 2000 Professional,Windows 2000 Server。

(八木 玲子=日経バイト)

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