電子商取引技術の標準化団体OASISのPatrick Gannon社長兼CEOは,Webサービスに必要な要素技術の標準化完了までに,あと2~3年かかるという見通しを明らかにした。2003年6月5日に東京都内で開いた報道関係者向けセミナーで語ったもの。Ganon氏は,Webサービス関連の技術がOASISの中で現在最も熱心に標準化が進められていると現状を説明した。ただ,実務に使うには決めなければならない規約が多く,それが出揃うのは2005年程度になるだろうと述べた。

 Webサービスを電子商取引システムに適用するには,データの交換方法やセキュリティの確保など,複数の技術を組み合わせる必要がある。既に仕様が確定し,一般公開されているWebサービス関連技術は少なくないが,実務的なシステムに適用するにはまだ不十分だ。セキュリティ関連の規約など,現在作業中のものについても「来年末くらいには1.0の仕様が出揃う」(Gannon氏)という。ただし実際には仕様を決めるだけでなく,それを実装し,相互接続性の検証などもする必要があるため,「実際に使えるようになるにはあと2~3年かかるだろう」(Gannon氏)。

 Webサービス関連技術の多くはW3Cで定めている。Gannon氏は,W3Cとの関係についても言及した。W3CとOASISのそれぞれで標準化が進んでいる同種の規約も存在し,その役割分担は明確ではない。この点についてGannon氏は「実際には,同じメンバーがOASISとW3C両方の作業班に参加していることが多い。互いの議論の内容を報告し合うなど,まったく別のものを作ってしまわないように随時調整している」と述べた。

(八木 玲子=日経バイト)

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