NECは2003年5月16日,パソコン内部の冷却に液冷システムを採用したパソコン「VALUESTAR FZ」シリーズ2機種および「同TX」シリーズ1機種を発表した。液冷システムにより,パソコンの動作音をささやき声程度に抑えられた。

VALUESTAR FZ VZ700/F 液冷システムを採用したのはTXシリーズの「VX900/6F」,「VX100/6F」およびFZシリーズの「VZ700/6F」(写真)の,2シリーズ計3機種。

 CPUの能力が上昇するのに伴い,動作時に発生する熱量が増えている。このため,パソコンの冷却能力に対する要求がどんどん高まっている。現在,パソコンの多くは電動ファンもしくは放熱フィンで冷却しているが,最大負荷時にCPUが発する熱を逃がすには大きな電動ファンが必要になってきた。電動ファンの冷却能力を上げると,ファンの動作音も大きくなり,特に家庭では大きな動作音は敬遠される傾向にある。そこでNECは,液冷システムの導入に踏み切った。

 NECは台湾メーカーと共同で液冷システムを開発した。ベースとなったのは,2002年7月に日立製作所が発表した液冷ノートパソコンに搭載されたシステムである。液冷システムだけでなく,静音設計のディスク・ドライブや低速回転の大型電源ファンの採用などにより,パソコンの動作音を約30dBに抑えることに成功した(VX900/6Fは約33dB)。人間のささやき声(約30dB)とほとんど変わらず,深夜の市内や図書館内(約40dB)より静かなレベルである。

 各機種の主な仕様は以下の通り。VX900/6Fは,CPUがPentium 4(3.0GHz),主記憶が512Mバイト,ハードディスク容量が250Gバイト。光ディスク・ドライブには,CD-R/RWおよびDVD±R/±RW/-RAMへの書き込みに対応したDVDマルチPlusドライブを採用した。モニターが付属しないVX100/6Fは,CPUがPentium 4(2.40CGHz),主記憶256Mバイト,ハードディスク容量160Gバイト,光ディスク・ドライブはDVDマルチPlusである。VZ700/Fは,CPUがPentium 4(2.40CGHz),主記憶512Mバイト,ハードディスク容量160Gバイト。光ディスク・ドライブは,CD-R/RWおよびDVD-R/-RW/-RAMへの書き込みに対応したDVDマルチ・ドライブを採用した。MPEG2ハードウェア・エンコーダ付きのテレビチューナ・カードも搭載する。

 VX900/6FおよびVX100/6Fの出荷時期は6月12日で,予想実売価格はVX900/6Fが37万~38万円,VX100/6Fが22万~23万円である。VZ700/6Fは,5月29日に出荷,予想実売価格は27万~28万円である。

(仙石 誠=日経バイト)

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