米Microsoft社は2003年4月9日,Windows CEのソースコードを開発者向けに開示し,さらにソースコードを改変したできた成果物の販売を認めるライセンスを始めると発表した。これは同社がLinuxなどに対抗して知的所有権を保持しながらソースコードを開示する「Shared Source Initiative」の一環。

 これまでWindows CEのソースコードを開示するライセンスはあったものの,改変することは認めていなかった。つまりデバイス・メーカーはソースコード情報を基にOSのバグを回避したり,アプリケーションのバグ修正の助けとしたりできたものの,独自の機能をOSに追加することはまかりならなかったのである。これは自由にカスタマイズ可能なLinuxに比べ,メーカー側の自由度が低くて魅力的でなかった。今回の新ライセンスにより,Windows CEが組み込み用OSとして製品の魅力は高まるだろう。

 ただし,OSの改変を許さなかったことが,逆にPDAなどのプロファイルである「PocketPC」などにおける互換性を維持していた面がある。つまり,機器メーカーがOSを改変することによって,同じPocketPC対応機でもアプリケーションが動作したりしなかったりする可能性が高まる。ライセンスを供与するか否かという点でまだMicrosoft側にイニシアティブがあるのかもしれないが,もしかしたら禍根を残すことになるかもしれない。

(北郷 達郎=日経バイト)