富士写真フイルムは2003年2月19日,撮影画像の白とびを抑えたデジタルカメラ「FinePix F700」を発表した。5月上旬に出荷を開始する。価格は7万4800円。同社が新たに開発した撮像素子「スーパーCCDハニカム SR」を搭載することで,白とびを抑える。CCD自体は同年1月22日に発表したもの。実際にデジタルカメラに搭載したのはこれが初めて。

 スーパーCCDハニカム SRは従来のスーパーCCDハニカムに比べて,「約4倍のダイナミック・レンジを持つ」(同社)。換言すれば,撮影画像の最も明るい部分から最も暗い部分までの情報量が従来の4倍にしなければならない。これを画素の構造を変えて実現した。具体的には,通常の感度を持つ画素に加えて感度を抑えた2種類の画素を組にして実装している(詳細は富士写,デジカメ用撮像素子に画像白とび防止の技術を搭載を参照)。この感度を抑えた画素は通常の画素に比べて,4倍の強さの光が入射するまで飽和しない。従来は画像が白とびしてしまっていたような場合であっても,感度を抑えた画素の情報で補正することが可能になったのである。

 FinePix F700に搭載したスーパーCCDハニカム SRには通常の画素と感度を抑えた画素がそれぞれ310万ずつある。これらの画素の組から得られたデータを演算処理し,最大で2832×2128ドットの画像を記録する。記録画素数としては603万となる。撮影した画像はxD-Picture Cardに記録する。また,パソコンとはUSBインタフェースで接続する。レンズは光学3倍。ズーム範囲は35mmフィルム換算で35~105mmに相当する。

(市嶋 洋平=日経バイト)