ソニーと松下電器産業は2002年12月18日,家庭電化製品用にカスタマイズしたLinuxを共同で開発すると発表した。2003年春をメドに開発し,両社の家電製品に搭載していく。今のところ,ハードディスク・レコーダーなどAV機器への採用を予定しているという。共同で開発するLinuxは,(1)高いリアルタイム処理性能,(2)OSが起動するまでの時間の短縮,(3)ネットワーク機能の充実,の大きく三つの目標を設けている。

 両社ともすでに自社で組み込みOSを開発し保有している。ソニーの「Aperios」と松下の「PiE-OS」である。共同開発するLinuxは「自社OS,他の組み込みOSと並ぶOSとして適材適所で使っていく」(ソニー広報)という。

 Linuxを使うメリットは,新しい技術をいち早く取り込めることだ。世界中のプログラマが開発に取り組み,ソースコードを無償で公開しているからである。「特にネットワーク関連機能の取り込みに期待している」(ソニー広報)という。両社は,開発した家電向けLinuxのソースコードを公開し,それを他社が入手して製品に搭載できる。利用した他社が手を加えた場合は,そのソースコードも公開する義務がある。Linuxが採用しているライセンス体系GPL(General Public License)によるものだ。

 両社は他の家電メーカなどにも開発への参加を呼びかけている。今のところ,オランダRoyal Philips Electronics社,韓国Samsung社,NECエレクトロニクス,シャープ,日本IBM,日立製作所が賛同を表明している。

(市嶋 洋平=日経バイト)