2002年12月12日,メルコはIEEE802.11部会で標準化検討中の高速無線LAN規格IEEE802.11g(以下11g)の製品出荷を2003年2月に開始すると発表した。

 11gの標準化は2003年5月の予定。規格が定まる前に出荷を開始することについてメルコは「規格はほとんど定まったと判断した。今後,仕様上の変更があってもファームウェアの変更で対応できる」(ブロードバンドソリューションズ事業部の石丸正弥マーケティンググループリーダー)と説明している。

 11gは802.11b(以下11b)と同様に2.4GHz帯を使用する無線LANの規格。11bが最大11Mビット/秒であるのに対し,最大54Mビット/秒で通信できる。11gは11bの規格をすべて中に含むため,既存の11b製品とも接続することが可能である。

 11gと同様に54Mビット/秒で通信する規格としてはIEEE802.11a(以下11a)があるが,周波数帯域は5GHz帯を使う。このため,11bとは互換性がない。ただし,電子レンジや医療機器,Bluetoothが利用し干渉の懸念がある2.4GHz帯とは異なり,11aでは安定した通信が期待できる。

 価格面でも勝負に出る。2003年2月出荷時の販売価格はいずれも11a製品とほぼ同等にする。具体的には無線LANカードを1万3200円,ブリッジタイプのアクセスポイントを3万500円,IEEE802.1xに対応した高機能な無線LANアクセスポイントを12万8000円で投入する。このほかにも,ルーター内蔵タイプのアクセスポイント,USB接続/CompactFlashタイプの無線LAN装置など,11bと同様の品揃えを2003年中ごろまでに用意する。

 他社に先駆けて11g製品を競争力のある価格で一気に投入することで,11b製品での優位性を新規格対応機器でも維持したい意向である。

(中道 理=日経バイト)