米Transmeta社は2002年11月20日,モバイル向けCPU「Crusoe」の次世代製品を2003年第3四半期に量産出荷できる見込みであることを明らかにした。コード・ネームは「Astro」で製品名は「TM8000」となる予定。従来のCrusoeは同時実行できる命令数が4個だったのに対し,TM8000はこれを8個に倍増して性能を約2倍に向上させたのが特徴である。

 Crusoeは省電力,低価格が特徴のプロセサで,サブノート・パソコンなどを中心に採用されているが,性能が他社製品と比較して見劣りする点で苦戦している。次期製品では性能を大幅に引き上げることで,市場での巻き返しを図る。

 Crusoeは,x86命令をCMS(Code Morphing Software)というソフトウェアでCrusoeネイティブ命令に変換して実行する。TM8000は,現行のCrusoeであるTM5800と比較して,VLIW(Very Long Instruction Word)の命令長を128ビットから256ビットに引き上げた。つまり,チップが同時に実行できる32ビット長命令は従来の最大4個から最大8個に倍増した。CMSの変換効率の問題があり,単純に性能が2倍になるわけではないが,「CMSを最適化することによりできるだけ2倍に近い性能向上を図る」(日本担当マーケティング・ディレクターの和田 信氏)という。

 TM8000の量産出荷後も,TM5800の製造は引き続き行う。TM5800はサブノート・パソコンのほか,米国や台湾のメーカによるタブレットPCへの採用も進んでおり,動作周波数を現行の867MHzから1GHzに引き上げた製品も開発が進んでいる。また,今後は組み込み機器への展開を本格化させていく戦略で,米IMB社の試作によるPCカード・サイズのボード2枚に,AT互換機と同等のハードウェアを組み込んだ小型パソコン(写真)や,MontaVista Linux,Windows CE.NET,Windows XP Embeddedなどの組み込み用OSをインストールしたデモ機などを公開していた。

(日経バイト=仙石 誠)

米Transmeta社