セイコーエプソンは2002年11月12日,同社としては初めてタンデム方式を採用したカラー・レーザ・プリンタの新製品「LP-9500C」を発表した。2002年12月中旬から出荷を開始する。

 タンデム方式では,4色の印刷エンジンを並列に並べ,同時に印刷することにより高速化する。従来の同社のカラー・レーザ・プリンタは,一つのドラムを4回回転させて4色を印刷する方式を採っていた。同じドラムを使うため4色の位置ずれがなく,高画質を得やすい。半面,印刷速度が遅かった。競合他社はすでにタンデム方式のプリンタを発売しており,セイコーエプソンは事実上タンデム方式では最後発となる。「カラーを高速に印刷したいという市場のニーズが高まってきたことと,自信を持って発売できる高品質の製品が完成したから」(情報画像事業本部 副事業本部長の平野精一取締役)と後発になった理由を説明する。

 四つの色を順番に中間転写体に載せ,最後にまとめて紙に印刷する方法を採る。紙に直接色を載せるよりも位置ずれが少なくなるという。また,位置ずれを補正する処理をソフトウェア側にも持たせて本体を小型化した。タンデム機のハードウェアは,位置ずれを防ぐための仕組みを入れると複雑になりがちだった。位置ずれをあらかじめセンサで読み取り,ソフトウェアで画像データを処理することで,ハードウェアをシンプルにできたという。

 解像度は600dpi。データ処理の工夫により9600×600dpi相当の印刷ができる。1分間に,カラー,モノクロともA4で21.6枚の印刷が可能。価格は26万8000円。

(八木 玲子=日経バイト)

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