NECは2002年10月17日,画像から本人認証をするためのソフト「NeoFace」を発売した。サングラスをかけるなど,顔の一部が隠れていても認証できるのが特徴。2002年12月に出荷を開始する。

 顔の一部が隠れていても照合できるのは,顔の部分単位で比較する方法を採用しているため。これまでの顔認証技術では,目じりや鼻の位置などから顔の特徴となる点を抽出し,その位置関係を比較する方法が一般的だった。この方法だと,特徴点が隠れてしまった場合,精度が落ちてしまう。NeoFaceは,顔をいくつかの部分に分け,その単位でパターン・マッチングする。このため,サングラスをかけていて目の情報が取得できなかったり,マスクをしていて口の部分が隠れていても,他の部分を使って比較し,類似度を判定できる。また,使用局面によって顔の位置や照明の明るさが変わることを考慮し,あらかじめ予想される変化の範囲内なら比較するパターンに差が出ないように画像データを処理している。これにより,例えば顔が正面を向いていなくても,ある程度ならば正しく認証できるようになった。認証精度は,同社が実施した1000人を対象にした精度テストで,本人を拒否してしまうエラーと,他人を受け入れてしまうエラーはともに1%であるという。

 認証用ソフト単体では販売されない。システムに組み込む用途を想定しており,開発用キット(SDK:Software Development Kit)とともに出荷される。空港などの監視システム,ホテル等の顧客対応システムなどでの利用を見込んでいるという。ただし,エラーの率が1%では,入退室管理など高いセキュリティ・レベルが要求される局面での利用には適さない。この場合には他の認証技術と組み合わせる必要があるという。価格は,開発用のライブラリである「コンポーネントSDK」が250万円から,複数人で開発するときのコンポーネントSDKの利用ライセンスが60万円から。

(八木 玲子=日経バイト)

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