華やかな製品紹介を繰り広げるブースが多いなか、異彩を放つのが東2ホールのセキュリティ・スタジアムだ。セキュリティ技術を競う競技場が設けられ、一般から応募した参加者たちが熱い戦いを繰り広げている。

 競技場では、攻撃、防御、検知の三つのクラスに分かれ、その腕を競い合う。

 攻撃クラスは、防御クラスのパソコンに侵入を試みる。対する防御クラスは、この攻撃を防がなければならない。そして検知クラスは、競技場内で誰が、どのように攻撃したのか観察する。このような実技を通して、書籍などから得る知識だけでなく、実際の業務に役立つ知見を得ようというのがこの競技場の目的だ。競技場内部では、各クラスごとに席が設けられ、各人が自分の技術を駆使し、盛んな応酬を繰り広げている。

競技場にあるパソコン同士の通信状況。盛んな攻防が繰り広げられているのが分かる

 セキュリティ・スタジアムには、競技場とは別に「ウイルス博物館」と「パスワード脆弱性チェック・コーナー」という企画も用意されている。

 ウイルス博物館は、過去に日本で被害をもたらしたウイルスを解説するもの。その中のいくつかはデモを体験できる。このデモは、日本で唯一の中立的なコンピュータ・ウイルス研究所「コンピューターセキュリティーリサーチセンター(JCSR)」の協力で実現したもの。デモは一般に公開されていないものばかりなので、この機会は貴重なものと言えるだろう。

ウイルス博物館のデモ画面。Windowsのエラー・アイコンを画面いっぱいに表示する「Marburg」の被害の様子が、目の前で見られる

 一方のパスワード脆弱性チェック・コーナーも大人気。日ごろ使っているパスワードが、どの程度破られやすいものか調べるコーナーだ。自分のユーザー名とパスワードを入れ、実行ボタンを押すと、その組み合わせが何日で破られるか計算し、破られにくさに応じた得点とランキングが表示される。

 高得点を取るのはなかなか難しいようで、多くの人が体験マシンの前に列を作り、どのようなパスワードならば高得点が得られるのか、幾度となく試している光景が見られた。自分のパスワードは絶対に破られない、と思っているあなたも、このコーナーでそれを実証してみてはいかがだろうか。

パスワード脆弱性チェックの画面。ユーザー名とパスワードの強度に応じて得点がつけられる。どのくらいの時間で解析されるかという情報も表示される

(八木 玲子=日経バイト)