米Microsoft社は2002年8月26日(現地時間),同社の開発ツール「Visual Studio .NET」の今後2年間の開発計画を明らかにした。大きく2段階ある。まずは2002年末~2003年初頭にかけて発売予定のWindows .NET Serverに対応した「Visual Stdio .NET "Everett"(開発コード名)」。および次の段階として,次期SQL Serverである「Yukon(開発コード名)」に対応した「Visual Studio for Yukon(同)」を用意している。


Microsoft社が示したロードマップ。同社の発表資料より

 EverettはWindows .NET Serverとほぼ同時期に発売となる。主な強化点は(1).NET Framework 1.1搭載による対応プラットフォームの強化。クライアント・アプリケーション,ブラウザ,携帯情報機器すべてのプログラミング・モデルを共通化できるという。具体的には,「ASP .NET Mobille Controls」と呼ぶ携帯機器向けの開発キットの統合と,.NET Compact Frameworkへの標準対応である。(2)「Enterprise Instrumentation Framework」を搭載。イベント・ログやトレース機能を統合して利用するためのAPIと設定機能を提供する。(3)Webサービス機能の強化。「Web Reference Dialog」と呼ぶ,Webサービスの所在地を特定し選択するダイアログ・ボックスを追加した。また最新のWeb Services Development Kitを搭載することにより,WS SecurityやRouting,Referralなどといった同社が提案する最新の規約を利用したアプリケーション開発が可能になる。(4)言語対応の強化。C++の言語仕様を改訂し,ANSI/ISO規格への準拠度を高めた。またこれまでオプションで提供していたVisual J# .NETを標準で提供する。
 価格および販売時期については明言していないが,既存のVisual Studio .NETユーザには29ドルでライセンスするという。また販売時期はおおむねWindows .NET Serverと同時になるとしている。

 Visual Studio for Yukonはまだそれほど具体的な強化点を明らかにしていない。Yukonは.NET Frameworkを組み込んだSQL Serverで,プログラマが慣れた言語でSQL Serverを利用したアプリケーションを開発できるという。.NET Frameworkの2.0版を搭載する。
 これに併せてVisual Studio for Yukonは,(1)SQL Serverアプリケーション開発機能の強化,(2)Webサービス機能の強化(複数のWebサービスの統合利用など),(3)各言語処理系の強化,(4)開発ツールの改善,(5)Microsoft Officeアプリケーション開発機能の搭載,などを明らかにしている。ただそれぞれについては具体的な記述はほとんどない。

(北郷 達郎=日経バイト)

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