マイクロソフトは2002年6月12日,ペン入力で操作するノートパッド形状のパソコン(タブレットPC)用のOS「Windows XP Tablet PC Edition」を発表した。手書き文書フォーマット「デジタル・インク」の採用,手書き文字および音声の認識エンジン搭載,ペンの動かし方(ジェスチャ)による操作などが特徴。日本では,NEC,ソーテック,東芝,日本ヒューレット・パッカード,富士通の各社が,同OSを搭載したパソコンを2002年秋に発売する計画である。

 同OSは,Windows XP Professionalに,タブレットPCに必要な機能を追加したもの。Windows XPの最上位版という位置づけになる。パッケージ販売はなく,タブレットPCへのプリインストールOSとしてのみ提供する。また,Office XPをタブレットPCで使いやすくするための「タブレットPC用Office XP Pack」も用意する。

 テキスト・データを手書きで入力する場合は,「タブレットPC入力パネル」を利用する。格子状に区切られたエリアに1文字ずつ記入する。また「Windows Journal」という手書きメモ用のユーティリティを搭載した。これはデジタル・インク形式の文書を作成するもの。手書きした文字や図形は,ベクタ・データとして保存される。あとから色や大きさを変更できる。また,手書きした文字は内部でテキスト・データとしても保存されるため,手書き文書の中から語句を検索できる。

 同社は,タブレットPCが満たすべき五つのハードウェア要件も公表した。電磁誘導式ディジタイザ(タブレット)の搭載,電源オン状態でのドッキング・ステーションから取り外し,スタンバイからの即座の復帰,レガシ・フリー(シリアル/パラレル・ポートの廃止),ディスプレイ表示の縦横切り替え機能,Ctl-Alt-Delキー操作に対応する専用ボタン(セキュリティ・キー)の搭載,である。

(大森 敏行=日経バイト)