ボーランドは2002年6月3日,同社のJavaプログラム開発ツールの新版「JBuilder 7」を発表した。Webサービス構築機能を強化したのが特徴。2002年6月24日に出荷を開始する。

 具体的にはWebサービスを作成するためのひな形を用意した。新規にプロジェクトを作成するときに,Webサービス作成に必要なコードが自動的に組み込まれる。JavaクラスやEJBコンポーネントが完成したら,Webサービスとして公開させたいメソッドを選択するだけでWebサービスを開発できる。米Apache Software Foundationが開発しているServlet実行環境「Tomcat」を備えており,JBuilder単体でWebサービスの動作を確認できる。

 また,プログラム・ソースの品質を上げるためにエディタの機能を強化した。例えば冗長なメソッドを簡潔にするために,一部のコードを別のメソッドとして独立させるための支援機能を備えた。手作業では変数や戻り値の不整合などが発生しやすい。JBuilder 7では,別メソッドにしたい部分を選択すれば,自動的に整合性の取れたソース・コードを生成してくれる。また引数に渡す文字列などが重複していた場合,それを一つの定数としてまとめるといった作業を支援する機能もある。

 プログラムの品質保証のために,最上位版には新たなツールを組み込んだ。「Optimizeit Suite 4.2」である。オブジェクトの生成回数などのプロファイル情報をとり,処理のボトルネックを見つけ出す「Optimizeit Profiler」,マルチスレッドのアプリケーションをデバグするための「Optimizeit Thread Debugger」,コードの実行した個所を識別する「Optimizeit Code Coverage」である。これらは単体製品としても提供する。

 このほか,Javaで開発したプログラムの見かけを,一般的なプログラムのように見せる機能も備える。Javaの実行形式は,「.jar」というファイル形式で配布するのが一般的だが,例えばWindows用なら,.exeファイルを生成する。Javaの実行環境の情報を取得する部分がネイティブ・コードで実装され,そこから.jarファイルを呼び出すしくみになっている。

 従来のWindows,Linux,Solaris版に加え,Mac OS Xにも対応した。製品構成は旧版から変更している。J2SE向けとJ2EE向けにそれぞれ「JBuilder 7 SE」,「JBuilder 7 Enterprise」を用意した。JBuilder 7 SEにはWebアプリケーション開発機能は含まれない。価格は,JBulider 7 SEが4万8000円,JBuilder 7 Enterpriseが36万円。Optimizeit Suite 4.2も含む「Borland Enterprise Studio 4 for Java」は60万円。なお,2002年7月中旬から,Java言語習得者向けの無償版である「JBuilder 7 Personal」のダウンロード提供も開始する。Optimizeit Suite 4.2は24万円。JBuilder 7 同様,Windows,Linux,Solaris,Mac OS Xで動作する。

(八木 玲子=日経バイト)