米Transmeta社は2002年5月29日,同社の省電力CPU「Crusoe」によって1000ドル以下,1000g以下のハードウェアで1000分(16.6時間)のバッテリ駆動時間を実現しようという「Crusoe 1000」構想を発表した。ソニーのバイオUや富士通のLOOX Sシリーズを筆頭に,小型パソコンが一定の市場を獲得している日本市場を意識した構想である。同年4月に同社社長兼CEOに就任したMatthew Perry氏は「顧客の多くは日本にいる。それが日本を発表の場に選んだ理由」とした。

 構想を支えるのは,2003年以降の出荷を予定する次期Crusoe「TM8000」と「TM6000」。TM8000では命令実行ユニットを従来品の2倍である8個に増やす。単位時間当たりに処理する命令数が増えるので,性能を保ちつつ動作周波数と駆動電圧を低く抑えられる。「アプリケーションによっては最大で消費電力を4分の1にまで削減できるだろう」(Transmeta創設者で最高技術責任者のDavid R. Ditzel氏)。TM6000は,メモリ,グラフィックス,ハード・ディスク,USBなどの各種コントローラを集積した統合チップ。通常別途部品が必要となるコントローラ類を統合することで,消費電力とコストを削減できる。命令実行ユニットの数は従来と同じ4である。

(高橋 秀和=日経バイト)