NTT東日本は2002年2月8日,ADSLの伝送速度を導入前に推定するシステムの実験を2002年2月12日に開始すると発表した。通信・放送機構(TAO)からの委託研究「高帯域DSL網の研究開発」の一環。実験期間は2003年2月までの予定で,誰でも参加できる。

 アナログ・モデムからのダイアルアップ接続を使う。参加ユーザはまず実験サイトにアクセスして,測定用プログラムをダウンロードする。プログラムを起動して,メール・アドレス,電話番号,氏名を入力すると,つくば市内に設置された実験用サーバに自動でダイアルアップ接続し,測定を開始する。サーバまでの通話料金(約1分×3回)はユーザの負担になる。

 推定速度は電子メールで通知する。下り1.5Mbpsタイプの「G.lite ANNEX A」と「G.lite ANNEX C」,8Mbpsタイプの「G.dmt ANNEX A」と「G.dmt ANNEX C」の4通りについて,それぞれ5段階で評価する。G.lite ANNEX Cを例に取ると,「1Mbps以上1536kbps以下」「500kbps以上1536kbps以下」「128kbps以上1536kbps以下」「同期取れず,もしくは32kbit/s以上500kbps以下」「同期取れず」のいずれかになる。

 実験に用いるシステムは,米Telecordia社の「TDLQS(Telcordia DSL Loop Qualification Services)」に日本のネットワーク環境の情報を加味したもの。実験システムはまず,音声通話に用いる4kHz帯までの信号の損失を測定し,その値からADSLで利用する1MHz以上の帯域における損失を推定する。電話局以降は完全にデジタル化されていてデータ損失は起こり得ないため,ユーザと電話局間の銅線における損失を測定すれば伝送速度は推定できる。一般に,銅線が長くなるほど損失も大きくなるが,銅線の太さも大きく影響するという。ただ,音声信号の損失ではISDNからの干渉はわからないため,推定の幅が大きくなっている。

 すでにADSLを利用しているユーザでも,スプリッタで分かれた電話回線からアナログ・モデムを使うことでこの実験に参加できる。ただし,ISDNユーザや電話局までが光ファイバ化されているユーザは,実験では非常によい結果が出るものの,実際にはADSLを利用できないので注意されたい。