三洋電機と米Eastman Kodak社は2001年12月4日,カラー有機ELパネルを開発・生産する合弁会社「エスケイ・ディスプレイ」(出資比率は三洋66%,Kodak社が34%)を12月21日に設立すると発表した。2002年2月に三洋電機の岐阜事業所で携帯電話向けの小型パネルの量産を開始し,2003年4月には鳥取にある液晶パネル生産工場をカラー有機ELパネルのラインに転換して,カーナビや携帯情報端末向け製品の量産を始める計画である。

 有機ELパネルは,自己発光型の有機EL素子を使ったディスプレイ。フィルム状の有機EL素子が自ら発光するため,液晶パネルのようにバックライトを必要としない。低消費電力で高輝度,高視野角,超薄型化を実現できるため,携帯電話や携帯情報端末,薄型テレビ向けのディスプレイ技術として注目されている。

 新会社が生産するのは,アクティブ型と呼ばれるカラー有機ELパネル。アクティブ型は駆動回路として各画素に微細な薄膜トランジスタ(TFT)を設けるため,パッシブ型に比べて量産は難しい。構造が単純なパッシブ型はすでに一部量産が始まっているものの,画質向上や大型化,低消費電力化の難しさから,アクティブ型が本命視されている。アクティブ型に必要なTFTには,三洋電機が持つ液晶パネル向け技術である低温ポリシリコンを転用する。

 なお,アクティブ型カラー有機ELパネルのメーカとしては,東北パイオニアと半導体エネルギー研究所,シャープによる「エルディス」(量産開始は2002年秋を予定),韓国Samsung SDIとNECによる「サムスンNECモバイルディスプレイ」(同2004年)がある。このほか,東芝(同2002年4月),ソニー(同2003年以降)などが単独で有機ELパネルの量産化を予定している。

(高橋 秀和=日経バイト)