「PCはいつも過小評価されてきた。インストール・ベースが100万台になったときも1000万台に達したときも,そして1億台になっても,そうだ」。米Microsoft社のBill Gates会長は2001年10月16日,NECグループとシステム・インテグレーション事業で協業体制をとると発表した席上,このように発言した。PCがIT景気を主導する時代は終わったのではないかとの質問に対する答えだ。

 同氏によれば「まだまだPCは使われていない。例えば,音楽一つとってもそうだ。タブレットPCのような小さなものから,メインフレームをしのぐ大きなものものまで,さまざまな形があり,これらを組み合わせることで,次世代のPCが作り出される」という。そのインテグレーションのカギを握るのが.NET構想。この要となるのは,個人情報とサービスを結びつけるMicrosoft Passportの仕組みである。NECも,この構想に乗り,BIGLOBEなどでの活用を検討しているという。また「Windowsベースのシステムのニーズはもっと高まるだろう」(NECの西垣浩司社長)と見て今回の全面的な提携に踏み切った。

 チーフ・ソフトウェア・アーキテクトを兼任するGates氏としては「現代はもっと使いやすく幅の広いPCが実現された時代だった,と将来言われるに違いない。PCの黎明期からパートナであり,スーパコンピュータも手がけているNECと組めば,もっとユニークなPCを提案できるだろう」と楽観的。しかし,度重なるコンピュータ・ウイルス騒ぎは頭痛の種のようで「最優先課題として取り組んでいる。先日発表した自動セキュリティ・アップデートの仕組みもその一環だ」と強調した。

(清木 隆文=日経バイト)